RYO the SKYWALKER

HOW TO HUNT IN THE BUSH
 
Text by Hajime Oishi
 




 avex trax内に新たに立ち上げられたRiddim Zoneに移籍し、マキシ・シングル「晴れわたる丘」とDVD『"Come Home Tour 2005" Final At Osaka Big Cat』を先頃リリースしたRyo The Skywalker。彼が次に放つのが、2003年に発表された『How To Hunt In The Bush』の第二弾だ。自身がトータル・プロデュースを手掛け、日本各地のDJやシンガーが乗る完全ダンスホール仕様の作りは、好評を集めた第一弾と同様。隅々からRyoのプロデューサーとしての意識がはっきりと窺える作品となった。

 「リズムや歌が生まれるところから立ち会って、それをノンストップで繋いで、パッケージを作って……ホント付きっきりで作ったから、思い入れがありますね。(プロデュースの意識は)思い返せばセレクターをやってたときからあったかもしれない。レゲエの遊び自体にハマってきたし、その楽しさを伝えたいっていう気持ちがあるから、その延長上でこういうことをやりたくなって」

 注目の参加アーティストだが、Boogie Manや湘南乃風、Peter Manといった面々が前作に引き続いて参加。さらに今作最大の魅力となっているのが「俺やからこそ間に入れた」と自負するコンビネーションの面白さだ。Moomin×Hibikilla、Bigga Raiji×Akane、King-K×Dan、Proffessor Chinnen×Maya-Bee、そして「これこそ俺しか仲を取り持てない」というNG Head×Jumbo Maatch(ウィキッド!!)。また、相変わらずのストーリーテラーぶりが冴え渡るPapa B「Sky-walkerは2度死ぬ ~死ぬのはヤツらだ~」も素晴らしい出来だ。ただ、そうしたクォリティの高さを支えているのが、プロデューサーとしてのRyoの手腕であることは何度でも強調しておきたい。

 「自分がDJだからわかる部分もあるし、それは武器だと思ってて。中身のアイデアも出せるし、そこまでプロデュースする人ってあんまりいないと思うから。組んできた骨組みに対して『こういう言葉にしたほうがいいんじゃない?』って話しながら一緒に作っていった」

 もちろん、Ryo自身のDJぶりも近年の好調をキープ。「“エロ可愛い”が流行ってたから、ここは“エロ逞しい”のを作ろうと(笑)」というPushimとの「Body Talk」、Bagdad Cafe the trench townの面々と初の絡みを聴かせる「Discovery」などでの言葉選び・運びの上手さは、彼がDJとして今もなお成長し続けていることを実感させられる。

 使用リディムは3種類。ドン・コルレオーン制作の「90年代風のラガな感じなんだけど、オシャレなヤツにしたくて」という "Perspire"、クリストファー・バーチによるナイス・リメイク "Nanny Goat"、そしてソカ風味の疾走感に溢れたスティーリー&クリーヴィ制作の "Carnival"。特に前者2つには90sダンスホールの懐かしいノリが窺えて、90年代音源を中心にしたRyo選曲のグリーンスリーヴス音源集『Lift Up Yoursky』と共に現在の彼の“モード”を感じ取ることができるだろう。

 「やっぱり自分がクラった90年代のゴリゴリのダンスホールへの思いはありますよね。ジャマイカでもそういうトラックや歌い回しが戻ってきてるし、『俺も好き!』ってテンションが上がってるところはあるかも」
 Ryoはこうも言う。

 「昔は『全部自分でやれるようになりたい』ってよく言ってたんですよ。バーテンもキャッシャーもやってるから、ダンスホールについては隅々まで知ってる。そういう気持ちが戻ってきてて、自分でトラックも作りたいんです」

 夏が終わろうとも、精力的に動き続けるRyo。その視線は常に“その先”を見据えている。
 「今回の作品でダンスホール然としたところを見せられたので、音としては幅広い意味での工夫をしてみたい。だけど、ダンスホール・マナーからは外れたくないから、そのバランスを取りつつ、リズムやフィーチャリングなどでビックリさせつつ……休めないっす、頑張ります(笑)」

 もちろん、こっちだって休んでいる暇はない。今作リリース後には豪華メンバーを迎えたツアーの予定もあるようで、こちらも要チェックだ。

"How To Hunt In The Bush 2"
Ryo the Skywalker
& The Friends
[Riddim Zone / RZCD-45443]


"Lift Up Your Sky Selected by
Ryo the Skywalker"
V.A.
[CCR Entertainment / CCUR-1001]