(U KNOW)What the deal is
 
 ハリケーン・カトリーナから一周年、9/11ら5年が経つ。双方の爪痕は今でも色濃く残っているが、相変わらず米軍はラチがあかないアフガニスタン、イラクに駐留しているし、ルイジアナを含む南部の各地は、今年も予想されるハリケーンの被害に怯えている。一年という期間は長く感じられるが、未だに帰る所がない人々が、国や州からなんの保障も無く、途方にくれているのが現状で、多くの問題が残っている。ブッシュ政権への批判は続くが、次の議会の予備、中間選挙でも苦戦が続くのは、当然の結果であろう。しかしながら、迎え撃つ民主党も、“環境問題”を柱に国民の支持を得ようとしている逃避ぶりで、ヒッピー世代の駄目な部分が出てしまっていると思っているのは、私だけでしょうか?

●今月の逮捕
 またまた50セントが捕まった。9/8にマンハッタンをナンバー・プレート無し、保険無しのランボルギーニで暴走していたとして現行犯逮捕された50だが、免許も持っていなかったと警察は発表している。目撃者の証言によると、車線変更禁止のところをジグザグ運転していたのを交通課の警官が止めたが、免許を提示するのを拒んだとの事。先月もマサチューセッツのコンサートで、ステージから飛び降りたところにぶつかった女性から訴えられている50だが、トラブルは続く?

●今月のビーフ
 ラッパー、メイスの契約を巡り、パフ・ダディと50セントがもめていたが、仲介役が入り、めでたくビーフ解消になったと50のマネージメントが語った。50がリリースした『Hip Hop Is Dead』なるミックスCDで、かなり辛辣にパフィを卑怯者と非難していた50だが、どういう風の吹き回しか、突然の歩み寄りを見せた。尚、パフ・ダディもFM局ホット97で、アンサー・ソングを用意しているとビーフを公認したばかりだった。こういうのは、ビジネス用語でなんというのだろう?

●今月の博物館
 昨年から基金集めを行っているブロンクスのヒップホップ博物館が、暗礁に乗り上げた。ヒップホップ発祥の地でありながら、ヒップホップの経済的成長にはあやかれないでいたブロンクスだが、この博物館を含む多目的用途のビルの、市からの補助金が凍結された。理由は、新しいビルを建設する時に、市に提出する書類が不備だったという、なんともマヌケな事だったのだが、元々ブロンクスに予算を割きたくないという市の態度は見え見えとオーガナイザー達はコメントしている。これに対して市は、ビル建設に関わっている業者などが、“脱税などの容疑がある怪しい団体”とやり返している。NYとしては、いい話だと思うんだけど?

●今月の逮捕 2
 モス・デフが8/31に逮捕された。MTVのヴィデオ・ミュージック賞のセレモニーに出演した本人が、ミッドタウンの会場、レディオ・シティ・ホール前に設置されたトレイラーのステージで、ブッシュ政権を斬る「Katrina Crap」を、会場前に集ったファンなどの前で披露している途中、警察のストップが入った。無許可で路上で演奏しているカドなどで、その後、逮捕となった。ウ~ン、ビッグブラザー的な話ですな?

●今月のジャム  9/2にブロンクスは、ムーアハウス・プロジェクトで、80年代ヒップホップの重鎮、カーティス・ブローのDJとしても知られるAJスクラッチが、ブロックパーティを行った。同じくアップタウンの巨匠、ブルーシーBなどもDJとして参加、アットホームな手作りジャムは、往年のブロンクスの雰囲気を蘇らせた。AJは一度引退を宣言していたが、今回のジャムをきっかけにまた活動するとのこと?

 
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]