(U KNOW)What the deal is
 
 独 残暑ですか? イスラエルのレバノン侵攻からひと月以上が経つが、ひたすら無力感と不条理を感じている貴兄も多いのではないでしょうか。政治家と話すのには経済界を通さなければならず、経済界を動かすには、我々消費者が行動を起こさなければならない。これは飽くまでも参考ですが、旧南アフリカを崩すのには大いに効果があった方法。不買運動です。もうそのコーヒーは飲んでいられない? http://palestine-heiwa.org/choice/list.html
 そして未遂に終ったとされるイギリス在住のパキスタン人によるテロ計画。タイミング的には、アメリカでの共和党議員の不振が明らかになった時。多くの市民が民主党左派、つまりこのイラク戦争に反対するムキに投票するという意志を見せた事から、戦争や、“テロ対策”を肯定する理由が共和党政権は欲しがっている。更にアメリカの国家予算からニューヨーク州に支給するテロ対策費を削減されたばかりで、それに不満を漏らしていたNYの知事や、NY市の市長にはうれしいニュースだった?

●今月のジャム 
 ブロンクスはクロトナ公園で行われているシリーズのジャムで、7/21にミーン・ジーンが十数年振りにそのDJプレイをみせた。このシリ?ズは新旧のDJに再びブロンクスの公園でのサウンドを経験して貰おうという企画で、7月から8月中に開催されている。ミーン・ジーンは、引退を宣言していたが、今回は特別に弟のシオドロのセットの前を飾った。彼はフラッシュやシオドロを育てたというヒップホップのサウンド・システムの初期の立役者で、長らくシーンから遠ざかっていたが、今回、元気な姿を見せた。この週のトリだったのはフィラデルフィアのキャッシュ・マニーで、スクラッチを押さえ、短時間でレコードをガンガンかえて行くプレイをはじめてのブロンクスで披露ラモーンズのコンサートより早かった?

●今月のジャム2
 7/30に静かにピート・ロックとジーン・グロウのショウがセントラル・パークのサマー・ステージで行われた。DJとMCというコンビは、昨今珍しくなったが、また見たいもんですな?

●今月のレッスン
 クール・ハークがレコードについて語るという妙な企画が7/31にダウンタウンのアディダス・ストアで行われた。元々、ネタを明かさないで有名な彼が、ブレイク・ビーツなど、当時のサウンド・システムで使用したネタを明かした。チャックDのライヴ・パフォーマンスもあると言うオマケもついた。チャックはナイキのコマーシャルを作っているんだけど、大丈夫?

●今月のジャム3
 アフリカン・アンダーグラウンドという企画で、シエラ・リオーンのチョーサン、ケニアのKG、ウガンダのサーバ、サーバなどが、ブルックリンはプロスペクトパークで8/5、ライヴを行った。同時に、アフリカの現状を当人達が話すディスカッションもあり、ブランドものにしか興味のないアメリカの黒人達へのある種のレッスンとなった?

●今月の本
 NYエアロソール界の暴れん坊、テリブル・Tキッドの伝記+写真集が出版された。ストレス誌のケット、セリア・サン、ニック・トーゴフなどが編集、ヘンリー・シャルファント、コープ、Tキッド自身の写真をフィーチャーしている。数々のスタイルを生み出し、ある意味で、ライター界に暴力を持ち込んだとされる賛否両論の彼の生き様を時代ごとに写真とともにたどれる仕組みとなっている?

●今月のジャム4
 8/7に「Manbo To Hip Hop」というラティーノの軌跡を祝う企画がセントラルパークで行われた。オーランド・マリンというラスト・マンボ・キングとコールド・クラッシュのチャーリー・チェイスが共演するというロフト形式のDJセットに、PBSというTV局が制作した同名のドキュメンタリーを上映するという夜となった。ちなみにヘンリー・シャルファントというラテン系ではない監督?

 
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]