Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Tony Rebel
Greetings Friends,
●残念なことに、今月のコラムは悪い知らせから始めなければならない。5月25日にスカの巨匠Desmond Dekkerが心臓発作で帰らぬ人となった。彼はMad ProfessorのThornton Heathスタジオ近くの自宅で亡くなったらしい。Dekkerは1969年以来Englandに住み、ジャマイカとイギリスで数曲のヒットを飛ばしたあと、「007 (Shanty Town)」と「Israelites」で国際的な名声を得た。これらの楽曲はBeverleyレーベルの伝説的プロデューサーLeslie Kongとの共同作業で生み出されたものだ。1980年代前半のTwo Tone時代以降、彼は目立った活躍はしておらず、1984年には自己破産まで追い込まれた。しかし、そのような境遇に屈することなく、20年もの間、熱狂的なファンのためにステージに立ち続けたのだ。
●誰からも好かれていた天才シンガーRuddy Thomasが6月に、44歳という若さで亡くなった。彼は、(他のジャマイカ出身シンガーの多くがそうであるように)まだ少年だった60年代にStudio Oneから「Parents' Fault」というヒット曲を放った。また、70年代から80年代にかけてラヴァーズ・ロックのヒットを量産しながら、Dynamic Soundsスタジオでエンジニアとしてのキャリアも積んでいた。80年代にJoe GibbsとGussie Clarkeの元で録音したチューンが彼の代表作になっている。Ruddyは90年代に入ってからも自ら歌う楽曲やDonovan Germainのために曲を提供していた。思慮深く、気が利く男で、Kent地方の奥地Snodlandにあった僕の(当時の)家まで来てくれた数少ないジャマイカン・アーティストの1人だった。年々、死去していくミュージシャンやアーティストが増えていく。僕にとって非常に辛いことだ。Ruddyのように個人的に知っている人を亡くしたときには特に辛い。
●俳優兼シンガーのJamie FoxxがBob Marleyの伝記的映画でMarley役を演じる、という噂がまことしなやかに流れている。映画のプロデューサーはRita Marleyで、『Little Senegal』のRachid Boucharebが監督を務めるのではないかとみられている。
●僕はまだ観ていないのだが、ジャマイカで行われた「Rebel Salute」のライヴDVDが素晴らしい評価を得ている。「Rebel Salute」とは、Tony Rebelが彼の生まれ故郷St Elizabethで始めたライヴだ。DVDに収められているのは2004年に開催された第11回目のイベント。当初はインディーズ的な要素の強いこじんまりしたライヴだったが、最近では「Sunsplash」にひけをとらない規模まで成長した。レゲエ界に堅実に貢献しているRebelが支えているショーということもあり、スターが毎年出演するようになった。2枚のDVD(『Vol.1 Back To The Foundation』『Vol.2 Roots Dancehall』)には5時間にわたって熱演がドキュメントされている。Vol.1ではCulture、Mighty Diamonds、John Holt、Ken Boothe、そしてJunior Bylesらが、Vol.2ではLady Saw、Charlie Chaplin、Capleton、そしてSizzlaらのパフォーマンスを観ることができる。DVDはフランスのWarner Visionから発売されており、ネットで見つけることは簡単だろう。映像と音のクオリティーの高さはレゲエのライヴとして出色の出来らしい。
●イギリスのレゲエ・アルバム・チャートでは、相変わらずコンピレーションばかりが上位を占めている。Jetstar、Greensleeves、VPからのコンピものがほぼ市場を独占している状態だ。僕が既に消滅していたと思っていた『Pop Hits Inna Reggae』はシリーズ6作目をリリースしているし、Greensleevesの『One Riddim』シリーズは驚くべきことにVol.84が店頭に並んでいる。こんなジャンクを一体誰が買うのだろうか?
●日本でもフランスの一昔前のレゲエ・サウンドが浸透しつつあると聞いた。Jim Murple MemorialやASPOによるコンピレーションがSka In The Worldレーベルから発売されているようだ。それにJim Murple Memorialの第5作目のアルバム『Five'n'Yellow』が最近復刻されていると聞いた。彼らはフランスで精力的ライヴを行っており、人気もあるので、是非聴いてみて欲しい。
●Dennis Bovellの新作『All Over The World』をリリースしたVirgin Frontlineが、彼の旧譜を片っ端から再発売するようだ。4枚の名盤『4th Street Orchestra』はCD2枚組となり、『Strictly Dub Wize』、『Audio Active』、『Brain Damage』などが再プレスされている。詳しくはwww.emicatalogue.comで。
Till Next Time, Take Care...
(訳/Masaaki Otsuka)