Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Fatman & Penny Reel (writer)
Greetings Friends,
●時々、新曲が話題をさらったりはするものの、相変わらずUKレゲエ界はまだリヴァイヴァル・フィーヴァーの最中にいるようだ。ノース・ロンドンでレストラン経営に力を入れていたFatmanがようやく本腰を入れ、彼の黄金時代の名曲をリリースし始めた。かつてロンドンでトップ・サウンドマン/プロデューサー/ディストリビューターだった男が最近プレスしたレコードには、Cornell Campbell & The Instigators(Mafia & Fluxyのオリジナル・バンド)の「Bandulu'」と「Five-O」という20年ぶりに流通するキラー・チューンが含まれている。Fatmanによればまだまだリリースは始まったばかりでこれから期待できるライナップが続くらしい。詳しくは彼のウェブで(www.fat manmusic.co.uk)。 近頃、Fatmanとクルー達はシステムを運ばずにレコードのみを携えて出張しているらしい。しかし、呼ばれれば世界中のどこへでもシステムを持って行くと彼らは言っていた。
●Peckingsは最近あらゆるジャンルの“リヴァイヴァル”モノで大躍進中である。中でも注目すべきなのが再プレスされたStudio OneのGaylads「I Am Free」やJoe Higgsの「I Am The Song」等のレア・アイテムだ。お宝が盛り沢山のPeckingsの新作からは目が離せない。どれも発売時期を逃すと長い間お目にかかれないような物ばかりだ。Bitty McLeanの“On Bond St”プロジェクトの成功によりレーベルは順調に成長しているようだ。Peter Hunnigale、Tippa Irie、Joseph Cotton、Lukie D、そしてLeroy Mafiaらの両A面シングルも好評である。アルバムでは『Old Skool Young Blood Vol.1』がイイ。これは『On Bond St』のようなコンセプトでTreasure IsleのトラックにPeter Hunnigale、Lady Lex、Janet-Lee Davis、Kelly Makeda、Vivian Jones、Natijah(ルーツ系の伝説ミュージシャンEarl 'Little Roy' Loweの娘)、それにBitty McLeanらがヴォーカルをのせている。豪華シンガー陣に負けじと花を添えているのがMark Overton(UK)とDean Fraser(ジャマイカ)の2人のサックス奏者だ。そして、豪華なアナログ2枚組は、恐らく今まで製造されたレコードの中で一番のヘヴィ・ウェイトかもしれない。
●前号でも紹介したフランスのサウンド・クラッシュで発見したシンガー、Sister Linaの事をChris Peckingsに伝えた。僕は彼に彼女のダブ・プレートからたった2曲聴かせた。するとChrisはすぐに彼女用にオリジナルのリディムを作ってくれた。僕が前にも書いたように彼女はきっとビッグになるに違いない。
●昔のStudio Oneスタイル崇拝者はBuffyレーベルから発売されたBeres Hammondの「Doctor's Orders」を探すといいだろう。A面はThe Flamesの「Born To Be Loved」のリディムをコンピュータ処理した至ってスタンダードな曲だ。しかし、B面が凄い。Alton Ellisの「Mad Mad」のダブ・ヴァージョン、それも正真正銘のStudio Oneトラックが使用されているのだ。Glen WashingtonならこのトラックにBeresと同クラスのヴォーカルをのせる事ができたかもしれない。しかし、これは本当にBeresがStudio Oneのためにカットしたものだ。この価値は計り知れないだろう。
●僕は確か去年、Elvis PresleyとSam CookeがリミックスされたStudio Oneの海賊盤の事をリポートしたと思う。Heptones「Baby」や Karl Bryan & The Afro-cats「Black Up」にソウルフルなCookeのヴォーカルが絡んだサウンドは十分に楽しめる物だった。その続編が到着したのだ。Bob Andy「Let Them Say」やJohn Holt「A Love I Can Feel」のトラックにCookeの歌声がフィチャーされている。是非、聴いてみたいものだ。流通量はかなり限られているらしいので見つけたら即買いをお薦めする。しかし、実のところ、僕もどこに売っているのか全く見当がつかない! 過小評価されているLarry Marshallが赤いStudio One Supremeからリリースした4曲入りの10インチも、海賊盤ではないが出所が怪しいモノとされているらしい。海賊盤関係でもう1アイテム紹介しよう。丁寧にクリニーングされたStudio Oneのレコードから起した音源を18枚のCDに収録した物が流通しているという。ポーランドで作られたという噂のCDは『Studio One Archives』というタイトルらしい。僕はそのCDを断片的に聴く機会があった。ポーランドという出所が気になって仕方がない。僕の勘では本当の出所を隠すための策略ではないかと思うのだが。とにかく、僕がこの事を書いたとは誰にも言わないでくれ!
●Studio One関係でもうひとつ。Ms Dynamiteの「Fall In Love」は現在限られたショップで流通しているのだが、どうやら海賊盤らしい。Ken BootheがStudio Oneからリリースした「When I Fall In Love」のループやヴォーカルを再構成したサウンドは素晴らしいの一言だ。B面にはダブ・ヴァージョンが収録されている。
●ノース・ロンドンにあるMafia & Fluxyのスタジオに僕が立ち寄った際にMike Brooksがいた。彼は最新作のミックスダウンを行っていたようだ。最近の彼のアルバムの出来は決して賞賛に値するものではないが、ドイツのMoll-Selektaからのコレクションは別だ。彼の声は甘いだけではなく説得力が宿っている。残念な事に、この有能なシンガーは今までいいマネージャーに恵まれていない。彼の新作に期待したい。
●僕の友人であり、かつてJetstarでA&Rを担当していたNashは、業界のコネクションを巧みに使い様々なCDをリリースしてきた。最新プロジェクトはCDとDVD2枚組の『Linval Thompson - The Early Years 1974-1982』だ。CDには才能溢れるThompsonによる16曲が収められ、DVDにはインタビューやコンサート模様が収録されている。パッケージ・デザインもいい。是非、チェックしてみて欲しい。
Till Next Time, Take Care...
(訳/Masaaki Otsuka)