真衣良
観世音!ディグラー
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Masataka Ishida
Moomin『Get Here』収録曲「Back In The Day」、DS455『Dubstar Clique』収録曲「Survive~重なるVibeとM.I.C.」、そして12"シングル「Funky New Styler」などで注目を集めていたMC Maira改め真衣良が5/10、待望の1stアルバム『観世音!ディグラー』をドロップ! 彼女の生き様をそのままパックした真のストリート・アルバムだ。
「アルバムの制作期間は?」と問われて「56億年」と真顔で答えられるくらい、真衣良という表現者は自分のルーツに自覚的なのだ。何かに成りたいと念じるよりも、なぜ自分が存在するのかという意味を問い続けること。すなわち未来へと歩を進めながらも、“礎”をおろそかにせず、過去から学び、時に手を合わせ、その大切さを次代へと伝えていこうという闘う精神貴族的な姿勢は、同じ人間として心底共感共鳴する。そんな“ブレない和の心を持つ言葉と文化と歴史の掘り師(=ディグラー)” 真衣良(MC Maira改め)の想いは、君にもきっと届くはず(他アーティストへのフィーチュアリングという形でステージに現れた彼女を見て、そのエネルギー量の凄さにぐさりと刺されて早5年。ひたすらこの時を待っていた自分にとって、本作は最高の心と体、そして頭への栄養剤だ……)。
■ヒップホップとの出会いについて
15か16歳の頃の彼氏がWorldのDJで、ウータンやブラック・シープ、ダ・ブッシュ・ベイビーズ、ビッグL、NWA、それに『悪名』とか聴いてハマリました。17の時に母が他界して、中学の先生に宛てた手紙の下書きが何枚も出てきて、そこに「なんでもいい、心のやさしい人になってほしい」って書いてあって…。KRSワンが元々ストリート・チルドレンで今は億万長者だぜ!って言ってる姿を見て元気が出ました。小林よしのりさんが『部落解放フェス』って書いてありましたが、あんな感覚です。
■ラッパーとして活動を始めた頃の話
Wanwan Beefというクルーを組んでいた当時はかなりPOPでした。ChakaやKane君のグラフィティが背景で、あたしはいつも単車の後ろなわけですが、色んな文化の合間を流れているのがヒップホップでした。18で子育てと仕事に追われて色々思うところがありました。Familyが「Outlow Sound」ってイヴェントをやってて、そこでライヴしたりしてシーンを作っていったという自覚があります。97年には「Bay Monsters」で横浜と町田も繋がった。この頃育てた友情は本気でぶつかった分だけ、まがいのないものです。
■リリックの中で“オレ”と言い出した理由
小学校の頃から“僕”で。“オレ”っていうのはとても自然でした。とにかく女に見られるのは死を意味するような環境だったと思います。その頃の回りは腰抜けしかいなかった。今はみんな分かってくれる。今思ってみても新しかったし、先を見ていたと思う。
■MC Maira~真衣良のいわれ
お父さんがつけてくれた名前が“麻衣良”で、実名は大切なのでとっておきたいと思ったからです。“真”には逆立ちしているという意味があるらしく、それがタロットカードの「吊られた人」の意味にも通じるので。血にメキシコもあるからジプシーの文化はセンスで感じてます。
■ アーティスト真衣良の礎とは?
一番世話になっているのは日本だと思ってます。うちのばあちゃんは80をとうに過ぎてるのですが、もの凄く元気で怖くて頭が上がりません。話を聞く時はいつも正座です。“和”かも知れません。長崎原爆記念日が誕生日で、身体にアザもあるし、被爆者の生まれ変わりかも知れないって思ってて…。歴史と進化についてずっと考えてきました。弱々しいあたしをここまで立派に育ててくれた日本と年寄りに感謝しているので、同世代、未来のチビたちや難民問題、動植物のために尽くすことが自分の本分です。はっきり言えば、それ以外全く興味もありません。
■ タイトル『観世音!ディグラー』に込められたもの
オーバーヒート・スタジオはDNAを意味する螺旋階段の地下にあります。そこに大仏というエンジニアがいて、4年間だらだらと岩をも通す一念でただ地面を掘っていました。でもある日、突き抜けた。世界や暗闇があたしを呼んでいるから早くそこに行きたい。みんなに応援して欲しい。タイトルはすぐに決まった。宗教というくくりもナンセンスでしょ? うちらはもっと自由になるべきです。
■ アルバムを共に作り上げた仲間について
ビート・ジャンキーズのDJレットマティックのプロデュースの「日本!!」と「女前」の2曲はスクラッチ好きのみんなが喜んでくれると思います。「女前」ではダイレイテッド・ピープルズのエヴィデンスもMixで協力してくれました。レットマティックから「日本!!」のミックス・ダウン後の音源が届いてからすぐにレットマティックの『From L.A. To Japan』というミックスCDも届いて、うちらがどれだけ音楽で感じ合ったかが分かりました。世界ツアー、出たいです!!
■ アルバム中、特に気に入っている曲
全て特に気に入ってます。「太陽と月と命」は子供が夫婦やカップルに歌っています。離婚や別れを踏みとどまって貰いたくて書きました。勝手ですけど。中の絵と一緒に見るとぶっ飛びます。「光る円」では本当に人が時間の空を飛ぶように書きました。妄走族のDenなら出来そうでしょ?
■ Liveに対する想い
自分にはLiveしかありません。関東を唸らせ、期待させ、進化し続けたLiveを見て欲しい。LiveはDJ IonaとDJ Sega R134とのターンテーブル・セッションです。色んなDJにお手合わせして頂き、今のスタイルが出来ました。バンドもいいと思いますが、この上ないほどスクラッチが好きだし、ターンテーブル・セッションは次世代に伝えたいと思うから、ミドルスクールというか緑スクールのビートを聴いて下さい。そして呼び声のする闇に光を、エネルギー党員として照らしていきたいと思います。潔癖の日本から音楽輸出したいです。
■ フィメール・ラッパーたち(これから出てくる人も含めて)へのメッセージ
バトルはするな、何と言われても耐えなさい。その向こうにあたしたちの言いたいことがある。姫は超かわいい。紅乃壱はいい感じ。ブライヤー、お元気で。羅良、大好き。彩子、ウルトライカス。
■ アルバム発表後の計画
世界規模で平和を提唱する人たちからの誘いを慎んで積極的に受けていきたいと思います。草食文化にたずさわり、お店のプロモーションにも積極的に参加していくと思います。
"観世音!ディグラー"
真衣良
[DB5 / GATE / GAGJ-0013]
【Live Information】
●「Clean Up」
6/24(土)、8/26(土)横浜The Bridge
[Live]真衣良, Ice Bahn, Life Earth
[DJ]Tac, Kohno (ケツメイシ), Yan, Oke, Minoyama, Sega, Can (Life Earth)
[MC]Channel
[URLhttp://www.bridgeyokohama.com/
※20歳未満の方は入場不可(写真付きID必要)
●毎月第四土曜日 横浜The Bridgeに出演