MACKA DIAMOND
MONEY-D
Interview by Mineko Ikeshiro / Photo by Andrew Cottrill
聴いて楽し、観て楽し。ジャマイカの女ピン芸人、マッカ・ダイヤモンドが待望のファースト・アルバムをドロップ。120%真正ダンスホールを全20曲と大判振る舞い、怒濤のDJで笑わせ、考えさせ、唸らせる。マッカ姉さんのマジメでカッコイイ素顔が覗いた最新インタヴューをどうぞ。
●マイクを握るようになったきっかけは?
Macka Diamond(以下M):学校やバーベキューでマイクはいつも握っていたの。最初は歌っていたけど、歌よりDJの方が得意なのに気づいて。1986年に音楽を志した時、最初からビッグ・マンがいいと思って、キング・タビーのところに顔を出すようになって、87年くらいまでには、ストリート・ダンスに自分から出かけるようになった。
●最初のレコーディングもキング・タビーだったんですよね?
M:そう。彼は死ぬ前まで私のマネージャー代わりをしてくれていたの。
●彼との一番の思い出は?
M:スタジオが終わった後に、ポート・ロワイヤルの港まで連れて行ってくれて、魚をごちそうしてくれたわね。
●彼から学んだことは?
M:音楽そのもの、アーティストとしての振る舞い。リディムへの乗り方はあそこで完全に覚えた。彼が亡くなってまた一人になってしまったから、今度は次の大物プロデューサー、キング・ジャミーのところに行ったの。そこでボビー・デジタルなどにも出会って次の段階に進んだわけ。
●当時はレディー・マッカレルだったんですよね?
M:メジャー・マッカレルの女性版としてデビューしたからね。最初はイヤだったけれど、何かしら目新しい点がないといけなかったから。2002年くらいに周りの勧めもあってマッカ・ダイヤモンドに改名した。私はグラマラスなイメージが好きで、いつも着飾っていたから「レディー・マッカレルは似合わない」っていう声が多くなっていたのね。きれいな服を着て、きらびやかなのが私だから、ダイヤモンドなの。
●レゲエは女性アーティストに厳しい音楽ですが、それの良し悪しについて教えて下さい。
M:まず、その意見には賛成。女性である利点は、最初にブレイクするのは簡単なこと、難しいのはその後に生き残ることね。強く出て、とにかく付いていけないと。ステージでも負けないでマイクを取りに行けないとダメ。ほんと、男性優位の世界で、お客さんは最初から男性のアーティストには甘いから。
●ジャマイカではブラッカーとのコンビも人気ですが。
M:彼は私と同じで、ブラッカ・ランクスとして一回当たってから、しばらく鳴かず飛ばずだったのが復活したから、相性はバッチリね。
●タイトルの『Money-O』はあなたのキャッチ・フレーズでもありますね。
M:男性にちゃんとサポートしてもらいたい、というジャマイカ女性の気持ちを、分かりやすくお金で表しただけよ。私自身がお金がすべてだと思っているわけではないけど、キツイことを言っても、「冗談を言っているだけだから」って受け入れられるタイプみたい。
●コメディみたいな「Wifey Catch Me」のPVのアイディアはどこから?
M:私は人と違うことをしたいのよ。みんなの言葉に傾けて、それを自分の曲に反映させる。これもスタジオのエンジニアが「いつも自分の男のことを歌っているけど、逆にほかの女性の男性を寝取る話も面白いんじゃない?」って言われて大笑いしながら作った。ちょっと勇気が必要だったけど、最終的に奥さんのところに帰す話にしたしね。「似たような経験があるわ」ってよく言われる(笑)。
●自分で思わず笑ってしまったリリックは?
M:ステージで「泥棒って呼んでちょうだい」って思いつきで言った時かな?
●アルバムの制作期間は?
M:2年くらいかけたわね。質の高い作品にしたかったから、かなり頑張って作った。ヒット曲ももちろん入れたけど、買った甲斐があるようにエクスクルーシヴなトラックも6曲くらい入っている。
●「Murderer」は中絶反対がテーマですが。
M:どの赤ちゃんも祝福されるべきだと、改名した時期に息子を産んで強く思ったの。別にパーソナルな曲にしたつもりはなくて、ダンスホールっぽく「妊娠線があるなら、堂々と見せちゃえ!」みたいなノリなんだけど。
●リリックがパトワなのに、分かりやすいのもあなたの特徴だと思います。
M:結構厳しい学校に行って、ちゃんと教育を受けたから、ふだんもべたべたなパトワではないのよ。パトワではあるけど、英語寄りだから分かりやすいんだと思う。
●デイヴ・ケリーとの仕事はどうでした?
M:彼は長年の知り合いで弟みたいな存在。あと、クリストファー・バーチも最初のブレイクをくれたプロデューサーだからとっても大事。私の才能を信じて強くプロモートしてくれた。
●「Your Mistake」は珍しい雰囲気の曲なので、内容を教えて下さい。
M:あれはコブラが刑務所に入った時に奥さんに当てた手紙が元になっているの。その曲のパート2で、コブラに奥さんのパートを書いて欲しいって頼まれて、すごく難しかったけど頑張ってやった。ラジオですごくウケがいいわね。コブラとは相性が良くて、「Washing Money Machine」なんてすぐ出来たわよ。
●このアルバムから何を感じ取って欲しいですか?
M:とにかく楽しんで欲しい。人種も国籍も関係なく、私の音楽のヴァイブを受け取って欲しいわ。
"Money-O"
Macka Diamond
[Greensleevas / GRELCD284]