前号よりつづき。成澤明彦くん、29歳。キングストン在住。レコード関係の仕事に従事しながら、機会を得てジャマイカでセレクターとしても活躍中。Jam Master所属。
キングストンは、1から20までの区域に大きく分かれ、それぞれ違った顔を持つ。
キングストン5はジャマイカの中心地。オフィス街、ホテル街、人気クラブ「アサイラム」や高級レストラン、ファーストフードなどあるニュー・キングストンがこの地区に入る。が、一歩離れると商業地区で、さらにちょっと行けばゲットーも近く。キングストン5にはガラの悪い場所もちょっとある。
Nariくんが頻繁にプレイする通称「キングストン・ファイヴ」は、リンドースト・ロードで行われるコミュニティー・ダンス。システムはサブソニック。この地区をベースに、もう30年もつづくサウンド。ストーン・ラヴのクリスクロスがこの地区出身なのは有名。
● キングストン5のダンスについて、おしえてください。
「ここではいろいろ廻しました。誰かの誕生日ダンスや追悼ダンス、バーが主催するダンス、誰かがプロモートするダンスなどです。リンドースト・ロードにあるバーがベニューの、ストリート・ダンスです」
● 大きなダンスとの違いは?
「プレイしている人もお客もバーの人も、地元の人ばかりというところです。初めはもちろん知り合いはいなかったけど、プレイするにつれこの地域の人達に知れ渡り、そのうちリスペクトしてもらえるようになりました。今では下ってボーグル・コーナーの方にも、自分のプレイのことが伝わっているようです」
私たち在ジャマ日本人は、目立つことで損をすることもあるけれど、いろんなことでけっこうトクもする。Nariくんのような素直なキャラだと、一度覚えられれば可愛がられること必至。有名なボーグル・コーナーは、リンドースト・ロードから南に、歩ける距離です。
「…昼間のこの地域は、暇でお金も回らないといった感じですが、ダンスの時は解放され本当に楽しそうです。ゲットーの人達にとってダンスはなくてはならない存在で、ダンスは日頃の嫌なことを忘れ楽しめる時間。女の子も超元気になって、ワイニー・ダンスぶりはアップタウンでは見られない凄い光景が。ストリート・ダンスの人込みを割って通る車の上に、のぼって踊ったり。はじけてます。若者から年配の人達みんなが楽しめるのがゲットー(コミニュティー)・ダンス。これからもこの地域を基盤に活動したいです」
● Nariくんの新しい活動は?
「アップタウン・マンデーで、レギュラーでプレイすることになりました。ラジオの宣伝ではジャム・マスターの名前も出ています。今週(3月上旬)はパサパサでもプレイする予定が入ってます」
●最後に、今ダンスでかけるとあがるって曲を、皆さんに紹介してください。
「ビーニマンの“スィング・アウエイ”…ご存知、同名ダンスが人気です」
「QQの“ストッキー”…わちがなどぅーわちがなどぅー♪」
「ボブ・マーリー“スローガンズ”…例の、エリック・クラプトンがギターで参加した、選挙チューンですね」
「リッチー・フィーリングス“Selloff”…こちらも同名ダンスでBus。セロゥセロゥって今一番の流行り言葉、売り切れの意味です」
これからもダンス、思いっきりあげて下さい。