UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Willie Williams


Greetings Friends,
   
●Bitty McLeanのアルバムを繰り返し聴いている。僕の一番気に入っているのは「Ranglin On Bond St.」のトラックにBittyのヴォーカルがマッチした「Tell Me」だ。

●1970年代初期に人気だったグループZap-Powの結成時のメンバーだったMichael Williams(他のメンバーはDavid MaddenとGlen DaCosta)が8月に61歳で死去したらしい。この訃報は、今頃僕のところへ伝わってきた。Zap-Powは当時の“スーパー・グループ”で、Beres Hammondがブレイクするキッカケを作った。彼の死が全く報道されなかったことが悔やまれる。彼はマイアミに本拠を置く『Reggae Report』という雑誌の創刊を手伝い、死の前の数年間、音楽活動を地道に続けていた。冥福を祈る。

●1960年代から数え切れないほどのヒット曲でベースを弾いてきたジャマイカのベーシストJackie Jacksonが、その栄誉を称えられ“インモータル・アワード(不朽のアーティスト賞)”を受賞した。

●Third Worldの新作アルバム『Black Green And Gold』がリリース間近だ。Beres Hammond、Wayne Marshall、そしてR&BシンガーのBlue Foxが参加しているようだ。加えて、このグループのリード・ヴォーカルBunny Rugsの4枚目のアルバム『What A World』も発売されるらしい。これにはSly & Robbie、Sean Paul、Marcia Griffiths、Mikey Bennettらのアーティストがレコーディングに加わっている。

●そのThird WorldのStephen 'Cat' Coore、元Third WorldのMichael 'Ibo' Cooper、サックス奏者 'Deadly' Headley Bennettの3人が、国の音楽産業に多大な貢献をしたとして、Order Of Distinction(栄誉章)をジャマイカ政府から授与された。

●1979年にジャマイカとカナダでレコーディングされたWillie Williamsの『Messenger Man』が最近Blood & Fireから再発売された。残念なことに正当な評価を受けていない彼の曲は、なかなか流通する機会に恵まれない。本作はYabby UとJackie Mittooらが参加して制作され、長いこと再リリースされることはなかった。今まで同レーベルのデザインを担当してきたIntro社が手を引いたため、昔のジャケットを流用しただけのデザインはどこか味気ない。しかし、初CD化であり、Channel OneでScientistとErrol Thompsonが手掛けた7曲のダブ・チューンが収められている。これは絶対“買い”のアイテムだ。「Valley Of Jehosaphat」の1曲のみでも買う価値がある一枚。

●『Guns Don't Argue; The Anthology』は、Dennis Alcaponeの名前を冠したコンピレーションとして発売されたものの中でやっと出て来た“まとも”なアルバムだ。エッポックメイキングだった彼の作品からとったタイトルの2枚組コンピは、現在経営難に陥っているTrojanからのリリース。しかし、Justin Hindsのコンピと並び、本作は同レーベルから今年発売になったコンピの中で群を抜いてイイ。オールドスクールのベテランDJが、世界中を飛び回って録音した55曲を収録。格好の良いスリーヴケースも付いている。オリジナルのヴァイナルは、常人の懐では買える金額ではないことを考慮すれば、このコンピの素晴らしさが理解できると思う。

●いわゆる「Welcome To Jamrock」騒動が、まだ静まる気配を見せない。Damian 'Junior Gong' Marley(Bob Marleyと元ミス・ジャマイカのCindy Breakspeareの息子)が歌う同曲がやっとアメリカでトップ100入りを果たした。また、彼はこの曲のライヴ・ヴァージョンをAlicia Keysと録音し、彼女が来年リリース予定している『MTV Unplugged』に収録予定らしい。Bob Marleyの妻Rita Marley(ジャマイカの新聞には、彼女の話題がほぼ毎日掲載されている)も黙ってはいられないようだ。9月にBob Marleyミュージアムで発表した彼女の新作アルバムのタイトルは、もうお察しだと思う……『Welcome To Jamrock』だ。

●1970年代後半に活躍した伝説のヴォーカル・グループCongosが再結成された。彼らはLee Perryと共に名作『Heart Of The Congos』を作った連中だ。オリジナル・メンバーの 'Ashanti Roy' JohnsonとCedric MytonはWatty Burnettの代わりにEternalsの元ヴォーカリストKenroy Fyffeを新メンバーに迎えた。Burnettは再結成に反対だったようだ。

●この原稿執筆中に、ヴォーカル・グループThe Viceroysがヨーロッパを初ツアー中だ。大陸のヨーロッパ諸国はUKに比べてルーツ系音楽に理解があるように思える。多くのルーツ系アーティストがUKをヨーロッパ・ツアーの公演地から外すようになってしまったからだ。

●Burning Spearの最新アルバム『Our Music』が店頭に並んでいる。
 Till Next Time, Take Care...
 
(訳/Masaaki Otsuka)


Marcia Griffiths