Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Damian Marley
Greetings Friends,
●今年のNotting Hill Carnivalに行けなかった人、又は僕のように何度も行っているのでイマイチ新鮮味にかけると思っている人にVirgin Recordsからピッタリのアルバムが発売予定。2つのヴォリュームに分けられた『Sound Of The Shebeen』だ。"Shebeen" とは、個人宅やアングラ系のクラブやパブで開催されることが多いサウンドシステムによる強烈なビートが鳴り響くオールナイト・パーティのこと。Front LineからのJohn Holt、U.Roy、Diamonds、Twinkle Brothers、Dennis Brown、そしてGregory Isaacsのチューンに加えTrojanのカタログものなどを含めた強力なラインナップを収録。ジャケットのアートワークは楽しいのだが、残念なことにどの曲も再発ばかりだ。ある意味、これより興味深いリリースが『Sonic Sounds On The Front Line』(Virgin)だろう。Sonic Soundsはジャマイカにおけるレコードプレスと配給で絶対的なシェアを誇り、同社が持つ膨大な音源から20曲をセレクトしたコンピをUKで発売する契約をVirginと結んだのだ。第1弾リリース5タイトルはそれぞれCoco Tea、Frankie Paul、Yellowman、そしてGeorge PhangのPowerhouseレーベルとJunjo LawesのVolcanoレーベルからの曲がセレクトされている。これらは既に輸入盤としてUKで流通していたが国内発売は初めてだ。詳しくはwww.emicatalogue.comを参照のこと。
●Twilight CircusのRyan Mooreは最近特に忙しいようだ。オランダとカナダを往復しながら次々とディープで太いパルスを持つダブをプロデュースしている。テクノ、ジャングル、ドラムンベースのエッスンスが散りばめられた彼の作品は、レゲエ・ファン以外の幅広いリスナーにもアピールできる魅力がある。主にインストを作ってきた彼が、近頃ヴォーカルものに本腰を入れ始めた。Ranking Joe、Michael Rose、そしてTurbulenceによる第1弾リリース3タイトルはRyan色が濃く反映され、シンガーの個性は押さえられている。これらのリリースについてUKでは意見が分かれている模様。www.m-records.comまたはwww. twilightcircus.comでチェックしてみては?
●Damian 'Junior Gong' Marleyの「Welcome To Jamrock」が今年最も売れたレゲエ・シングルになりそうだ。発売して何ヶ月も経過しているのにかかわらず今だUKのレゲエ・チャートでトップの座に君臨し続け、セールスに全く衰える様子がない。Tuff Gongが同曲のCDシングルリリースに踏み切ったのも、この曲の人気の凄まじさからして納得できることだ。もし、7インチ、12インチ、そしてCDが世界同時発売されていたならDamianはすでに国際的なポップスターになっていたに違いない。
●Sizzlaの最新7インチ「Nah Apologize」は、彼の活動が反同性愛運動により大幅な制約を受けたことを皮肉った曲だ。恐らく、彼のチューンの中で最も同性愛に対して敵対心をあらわにしたリリックらしい。この曲をマスコミはこぞって取り上げるであろうし、Sizzlaのメジャー・レーベルとの契約を揺るがすことも必死だろう!
●今では昔の曲のトラック(既にに亡くなったシンガーの曲が多い)を用い、他のアーティストのヴォーカルをミックスすることが当たり前になってきたようだ。その手法を巧妙に実践しているのがJoe Gibbsの息子Rockyだ。彼はPeter Tosh「Hafi Get A Beaten」のリズム・トラックを引っ張りだし、Buju Bantonがその重いテーマについて歌ったヴォーカルを乗せている。この曲は7インチでリリース済みだ。彼による同トラックを使ったチューンでYami BoloとChuck Fenderをフィーチャーした「Acting Unruly」も聴き応え十分だと思う。
●偉大なJustin Hindsがこの世を去ってから久しいが、彼の音楽は今でも生き続けている。TrojanのCD2枚組『The Anthology』がその証明だ。彼はSt AnneのSteertownに生涯住み、クルーズ船の雇われシンガーとしてキャリアをスタート。そして10年間に渡ってDuke Reidの下で数々の名曲を残した。スカからレゲエに及ぶ作品をまとめたのが本作。これ以上の説明は必要ないだろう。
●このコラムを執筆中にTrojanから朗報が届いた。同レーベル保有のほぼ全てのToots & The MaytalsのナンバーをCD6枚にパックした『Roots Reggae』がリリースされるようだ。発売が待ち遠しい。Dennis BovellのバンドMatumbiの2枚組コンピレーション『Music In The Air』、ギタリストLyn Taittと彼のバンドThe Jetsの、やはり2枚組のコンピ『Hold Me Tight』など、Trojanは続々と昔の音源を放出している。しかし、その中には長い間日の目を見ることがなかった名曲が含まれていたりもするのだ。
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
(訳/Masaaki Otsuka)