(U KNOW)What the deal is
 
 もう残暑お見舞いでしょうか? このシーズンってあまりニュースとか無いのだけど、ソニー・ミュージックがラジオとレコード・レーベルの癒着を取沙汰して、ラジオDJや番組制作にもう賄賂を払わないと宣言していました。実はこの問題、Pディディのバッドボーイ・レコードがホット97の株主だったり、90年代からあからさまになっていたのですが、ラジオがTVと並び重要なプロモーションの場であるアメリカでは、ラジオが発明されてからずっとある話。古くはロックンロール、そしてジェームス・ブラウンもラジオ局を所有していて、ライバルを蹴落としたりするのに使われて来た手だった訳だが、最近のラジオDJは完全に金権主義で、メイジャーレーベル、又はアーティスト事務所からある種の金銭、接待を受けないとオンエアされないとは、ストリートでは当たり前の話。ただ、ヒップホップがここまでのポップ・ カルチャーの一部になった今では、ラジオDJのあり方が変わって来た。以前までは、ラジオDJがメイジャー、アンダーグランドに関係なく、いや、むしろ誰もかけていないレコードを探して来てプレイ・リストに加えるのが、ある種の“売り”だった。それがある意味で、NYのDJ達をトレンド・セッター、またはユニークな存在にしていた訳で、NYミュージックとして存在するジャンルの一つがヒップホップであり、ガラージュだった。近年は、そのNY的な土壌では有り得なかった南部のヒップホップやカリフォルニアのヒップホップがNYのFMでもかかる様になったが、それはこのペイヨーラと呼ばれる不法 なプロモからはじまったと改めて思う?

●今月のオールド・スクーラー
 最初の白いDJ、チャーリー・チェイス(冗談)とジャジー・ジェイが、ブロンクスでの数々のイヴェントをホストしている。8/11のSSBXフェス(サステイン・サウス・ブロンクス)では、彼らのDJとなぜか映画『シュレック2』をフィーチャーしたこのイヴェントが、8月、毎週行われている。実際、サウスブロンクスのストリートで行われているこのブロックパーティを彷彿させる会だが、8/18にはグランドマスター・カズ、8/25にはシオドロを予定している。映画を観なければ、割と安全に帰れます?

●今月のマルコムX
 マルコムXの意志を今も継承する団体、マルコムXグラスルーツ・ムーヴメントが主催するライチャスなヒップホップ・コンサートがタイムズ・スクエアのBBキングで行われた。出演は、最近は音楽より役者として有名なコスビー・キッズ、モスデフ、タリブ・クワリ、スミフ&ウエッスン、インモータル・テクニックなど。それ程黒人のオーディエンスは多く無かったのが、最近の関心度?

●今月のジャム
 いつから存在するかというと、ウィギー・キッズでお馴染のニュークリアスとランDMCが最初だった気がするのだが、フレッシュ・フェスというシリーズのライヴが今年も似た様なラインアップでNYのハマースティーン・ボールルームで行われた。8/12のこのイヴェント、出演はスリック・リック、デイナ・デーン(カンゴール・クルー!)、ダギー・フレッシュ(まだ新鮮かは別として)、ナイス&スムース、リアリティ・ショウで赤っ恥をかいたビズ・マーキー、なんとビッグ・ダディ・ケーンも加わり、ホストにモニーラヴ、エドラヴァーと、80年代後半と全く変わらない、その筋の人には感涙もののメンツ。一方では、モータウンとかのアーティストを引っぱりだす同様の企画があり、あまり変わらない趣旨のこれ、どうなの?

●今月のジャム2
 同様で、時代がちょっと違うギグもサンフランシスコ、LAで行われた。「ロック・ザ・ベル」と名打ったこのジャムだが、バスタ、メス、レッドマン、キューバン・リンクス、グールー、デッドプレズ、ジーン・グロウが、彼らが考えるリアルなヒップホップをステージで再現。LAに飛び入りしたナズが、50センツをディスするという尾ひれもついた。個人的には、なんかパッとしないのですが?

●今月のバトル
 ダウンタウンはテーブル50という店で、女性のみのBガール・バトルがクレイジーレッグスによって開催された。8/1に行われたこのバトル、アメリカの田舎から出て来た様な若い女の子達がスターを目指している感じが、ある種の悲壮感と商売人の魂胆が見え見えで、キツかったです?

●今月の写真
 ドキュメンタリー『We Was All Kings』から、チャーリー・チェイス、パンクロック・ディスコ・デイズ!(BBC)



沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]