UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Larry Marshall


Greetings Friends,
   
●まずJennifer Laraが死去した事を報告しなければならないのがとても辛い。彼女は6月11日にキングストンの病院で脳出血が原因で亡くなった。まだ52歳だった。Laraは奇しくもCoxsone Doddが04年に倒れた時に、Bunny Brownと共にStudio Oneにいた。彼女は瀕死のCoxsoneを必死に人口呼吸を施し救おうとしたのだ。Coxsoneこそがバック・ヴォーカリストとして活躍しながら、殆どソロ活動をやっていなかった彼女に国際的キャリアをもたらした人物だった。Laraは自分は黒子に徹する事を誇りにしていた謙虚な人物だったのだ。Freddie McGregor、Johnny Osbourne、Leonard 'Ethiopian' Dillonなど彼女の恩恵を受けた人々は今、きっと喪に服しているに違いない。僕が彼女のライヴに初めて接したのは、70年代にPrince LincolnのRoyal Rassesのツアーでイギリスに来た時。85年にEarl Sixteen、Edi Fitzroy、Leroy Smart、Lord Sassafrasのツアーで渡英した際、僕らは友人になった。彼女が生涯でたった3枚のアルバムしかリリースしていないことは残念でしかたない。彼女の作品を最新作から過去へ遡っていくと、まずは彼女の良き友人だったRadsとの作品、Ossie ThomasとTristan Palmaとの1枚、そして彼女をこの世に知らしめるキッカケを作った『Studio One Presents Jennifer Lara』がある。死の2週間前、Studio Oneで録音したギタリストDalton Browneとのデュエット「Ordinary People」が彼女の遺作となってしまった。人生とは残酷なものだ。本当に大事な人を失った。

●伝説的ルーツ・シンガーのSylford Walkerがジャマイカ国外初のサウンドシステム・ショーをスイスとフランスで行うらしい。彼の代表作にはGlen Brownプロデュースによるアルバム『Lambsbread』がある。かつて「Jah Golden Pen」と「Burn Babylon」をプロデュースしたJoe Gibbsに「まるで死んでいるようだ」とまで言われた彼は、音楽業界から忘れ去られ、貧困状態にあったようだ。この機会はもしかすると、彼の困難な日々を報う事となる転機になるかもしれない。

●また悲報だ。Augustus Pabloの曲でしゃがれ声を響かせていたDJ、Jah Bull(本名Woolton Harrison)が55歳でこの世を去った。彼の声はPabloの「Push Dawta Push」や、Hugh Mundell「Blackman's Foundation」で聴ける。Studio Oneの熱烈なファンだった彼はHorace Andyに薦められてCoxsoneのオーディションを受けたが、不合格に終わった。Bullは死の直前まで、Pablo夫人所有のレコードから自身が参加したレコードを探し、回顧的なアルバムをコンパイルしようとしていたようだ。

●シンガー&プロデューサーのClancy Ecclesも65歳で死去した。Coxsone Doddに導かれ音楽ビジネスの道に入り、Coxsone初期のサウンドシステムから生まれた「Freedom」でヴォーカルを担当したのを含め、様々な仕事をこなした。60年代初期にはレーベルを立ち上げ、キングストンのダウンタウンにレコード店を構えるまでになった。60年代後半には彼のレーベルClandiscからKing Stittがヒットを飛ばし始め、Lord Creator「Kingston Town」も大成功。71年にMichael 'Joshua' Manleyが勝利したPNP党のキャンペーンに音楽面で積極的に参加し、Ecclesのキャリアは飛躍的に発展。しかし、70年代に音楽と政治の関わりが非常に危険になり、80年の総選挙に至るまで不安定な政情が続きEcclesの人気は次第に衰えていった。最近、Ecclesのキャリアを総括したコレクションが発表され、やっと彼の名がレゲエ史に刻まれた。偉大な男でありプロデューサーだった。

●Coxsone亡き後、Soul JazzがStudio One音源を発売するのは無理だと思っていたが、『Studio One Lovers』と『Studio One Roots 2』が発売された。Delroy Wilson「Don't Know Why」、Freddy & Jenny「Too Late」、Horace Andy「Got To Be Sure」の7インチを持っていなければ『Studio One Lovers』は買いだ。その上、このコンピには非常にレアなAlbert Tomlinson「Don't Wait For Me」が含まれていて、この手の曲が好きなファンにはお薦めだ。『Studio One Roots 2』も同様、オリジナルの7インチを持っていなければ買いだ。Jackie Bernard「Jah Jah Way」、Zoot Simm「Small Garden」、The Gladiators「Talwah」、 Larry Marshall「Run Babylon」、Joe HiggsとKen Bootheによる「Message Of Old」、そしてJoseph 'Culture' Hill「Behold The Land」などを収録。現在これらの7インチを探すのは至難の業だろう。

●ジャマイカン・アーティストの反同性愛リリックに対するイギリスでの反応は少し落ち着いたようだが、同国の同性愛擁護団体OutrageとVPレーベルの間で交わされた合意書(VP所属の全アーティストに適用)にフランスの同様の団体LGBTは満足していないようだ。フランスでは04年12月30日以来、公共の前で性差別・同性愛主義的な表現を禁じる法律が施行されている。Sizzlaは依然として店頭から彼のCDを引き揚げることを拒否し、同性愛主義に対して強い非難を浴びせ続けている。これに対しLGBTは強硬姿勢で臨んでおり、フランスでのSizzlaとCapletonのショーが次々とキャンセルに追い込まれた。元総理大臣でジャマイカ労働党(JLP)のEdward SeagaがT.O.Kの「Chi Chi Man」などのアンチ同性愛ソングをバックアップし、PNP党で現総理大臣のPJ Pattersonの名声を揺るがし、政権を奪回しようとしているという噂が流れている。Pattersonは独身にもかかわらず公共の場に女性と一緒に現れたことがないからだ。以前にも書いたが、このストーリーには終わりがないようだ…。
 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)


Bernard 'Abyssinians' Collins, Horace Andy, Leroy Gibbon, Sugar Minott (L to R)