Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Junior Delgado
Greetings Friends,
●今月も最初に悪いニュースから伝えなければならない。Junior Delgado死去の知らせはもうご存知だろう。しかし、まず噂として流れ始めたこの情報を事実として確認するために時間を要し、前号で紹介できなかった。Junior 'Jux' Delgadoは4月10日か11日の夜にロンドンの自宅で糖尿病の悪化により死亡した。1970年代のストレートで感情的なルーツ音楽の数少ない伝承者を愛するファンにとってショッキングな事だ。彼は'75年にイギリスで初のヒット・ソング「Tition」をリリースしたが、既にその時にはBunny Lee、Larry Lawrence、Niney The Obsrever等のプロデューサー等と仕事をこなし、Time Unlimitedのメンバーとしても活躍していた。'77-'79年にはLee 'Scratch' Perryとの「Sons Of Slaves」を始め驚くべき数のヒットをDEB Musicから飛ばした。このレーベルはDennis BrownとCastroBrownによって設立、運営され、キャリアのピークにあり、友人同士だったDennis、Jux、そしてGregory Isaacsの作品を次々とリリース。当時非常に勢いがあったレーベルだ。
しかし、彼自身のレーベルの成功とSly & Robbieとのパワフルな「Fort Augustus」を発表し絶好調だった'83年に、ロンドン市警とトラブルを起こし、2年間の投獄生活を経験する。音楽産業がテクノロジーを駆使した表面だけの華美化に走り、ソウルを失いかけていた頃だった。この刑務所での生活をあたかもバネにしたように、出所後の彼は感情を素直に曲に表現する事に執念を燃やし、次々とヒットを放っていった。その中にはPrince Jammy、Fashion、Skengdonでのシングルやアルバムが含まれる。'85年にリリースされたノース・ロンドンの住環境の悪い公共住宅に住む人々の人生を歌った「Broadwater Farm」が、彼のアーティステイックな方向性を決定づけたと言ってもいいだろう。
宣伝が地味だったため、余り知られれず、曲のクオリティに対して評価が高くなかった事が惜しまれる。彼は翌年、Augustus Pabloをプロデューサーに迎えた彼の金字塔的アルバム『Raggamuffin Year』を発表し健在ぶりをしらしめた。この1枚でPabloも依然として素晴らしい音楽を生み出せる事を証明してみせたのだ。この二人はその後、『Hanging Tree』をリリースし、そのアルバムを引っ提げたツアーでPabloはキーボートを操っていた。世界中の幸運なファンは、Pabloを後ろに従えた彼の姿を拝む事ができたのだ。'90年代後半にJuxは各地の様々なフェスティバルに呼ばれ、ルーツ音楽の更なる発展に情熱を注いだ。その好例がSmith & Mighty、 The Jungle Brothers、そしてJerry Dammersとのコラボレーションで生まれた『Fearless』だ。未だに彼の声が聴けない事が信じられない。冥福を祈る。
●Victorの良心ある方々が僕にわざわざCDを送ってくれたのでLittle Tempoの最新作『Super Tempo』について一言。殆どがオリジナル曲だが、商業的な方向性が少し濃くなった気がする。適度にイージーでレイドバックした雰囲気の前作に比べ、今作はダイレクトで積極的なサウンドがリスナーを惹きつけるに違いない。例えれば1999/2000年のLittle Tempoは“安らぎ向きの音”で、2005年のLittle Tempoは“ノリノリの音”だ。このアルバムはインターナショナル・リリースへ向けての試石なのだろうか? グループの方向性はさておき、Ticoとメンバーにグッド・ラックと言いたい。
●(Sanctuaryが買収するかなり前から)TrojanとフランスのCulture Pressとの間に何らかのヤミ取引があったのではないか?という噂が流れている。出所不明の曲を勝手にリリースするという、著作権という概念がレゲエ音楽業界で確立される以前の悪い風習をCulture Pressが平然と行っていたからだ。しかし、最近Culture Pressにパリの裁判所から被害にあったMax RomeoとWinston McAnuffに損害賠償を支払えという判決が下された。Romeoはアルバム『Wet Dream』『On The Beach』、McAnuffは『One Love』の損害が認められ、裁判費用以外に前者には60,000ユーロ、後者には10,000ユーロの賠償金が支払われた。この判決により同様のクレームがジャマイカのアーティストから多数出るかもしれない。
●Rita MarleyがBob Marleyとの人生を綴った本が出版された事は記憶に新しい。そして、彼女の娘でMelody MakersのCedella Marleyも父との思い出を『The Boy From Nine Mile; The Early Years Of Bob Marley』という一冊に託している。母親が書いた本が引き起こした大騒動にはならないだろう。
●今年の5月1日はKingstonにあるAlpha Schoolの125周年記念日だった。この学校は数多くのミュージシャンを輩出したジャマイカの“音大”のような存在だ。これからもこの伝統が続く事を祈る。
●元GladiatorのKiddus IことClinton Fearonの新作は、彼と彼の弾くギターのみでタイトルは『Mi An' Mi Guitar』。フランスのMakasoundからのアコースティック・セッション・シリーズの『Inna Di Yard』とリリースが重なったのは偶然なのだろうか?
●Bunny Wailerが次のアルバムはBob Marleyへのトリビュート盤だと発表した。『Sing The Wailers』をカウントすれば、Marley関連で3作目だ。この男のアイデアはもう尽きてしまったのだろうか。
●Half PintとAlicia Keysが一緒にシングル曲を録音したらしい。
●Jetstarの『In The Producer's Hot Seat』からSteely & Clevie編の第3作目がリリースされた。彼らのキャリアの中でも1980年代後半から'90年代前半の粒揃いの曲が収録されている。しかし、基本的にはリパッケージ物なので、『The Best Of Steely & Clevie』をお持ちなら購入の必要はなさそうだ。
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
(訳/Masaaki Otsuka)