UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Augustus Pablo


Greetings Friends,
   
●ショッキングとまではいかないが、ビックリするニュースがUKに届いた。Rita Marleyが夫の遺体を、今や巡礼地と化しているジャマイカのSt AnnsのNine Mileから掘り起こし、アフリカに返すこと主張しているというのだ。彼女は法律的にこの権利を持っているのだが、ジャマイカ政府やメディアはこの件に関して即座に反対の意を唱えている。教育文化大臣のMaxine Henry-Wilsonは今年がMarley生誕60周年に当り、盛んに記念行事が行われておりRitaの主張はこのアニバーサリー・イヤーに相応しくない、と反発。批評家連中は、キング・オブ・レゲエが死後25年を経過していても、ジャマイカの観光収入に計り知れないほどに貢献しているので、お役人達はその収入を失いたくないだけだどつっぱねている。20世紀最高のアルバムの一つである『Exodus』が実は、アフリカへのインスピレーションと熱望を綴った曲のコレクションであることを政府関係者が理解してるのだろうか? このアルバムの意義がこそがRitaの論点である。彼女によればアフリカこそがBobの祖国であり、ジャマイカは彼の生前に何もに差し出してくれなかったと主張している。この一件は既に汚されたMarelyの伝説に新たな問題を上積みするだけのようだ。「Marelyはジャマイカ人の前にアフリカ人なのか」という論争は長引きそうな気配だ。このレポート執筆時点ではMarelyの遺体の掘り起こしに関しての正式な文面やリクエストなどはジャマイカ政府に提出されていないらしい。

●続いて悲報だ。3月16日に伝説のJustin Hindsが亡くなった。死の直前までツアー中だったらしい。Jamaican All-Starsの一員としてここ2、3年ヨーロッパでの活躍が目立っていた。最近はフランスで新しいCDとDVDをリリースしたばかりだった。死後になって彼が健康を害していたとの情報が公表された。Hindsは有名なHorace 'Andy' Hindsと血縁関係にあり、僕がSt Annsに住んでいた時にはSteertownにあった彼の家は近所だった。彼はスカ全盛期のころ、プロデューサーDuke Reidのもとで印象的なメロディーとシンプルなヴォーカル・スタイルが特徴な一連のヒットを放った。ヘヴィなルーツ系音楽が流行する新たなトレンドが台頭すると影が薄くなってしまったが、Jack Rubyプロデュースによる1970年代に発表した2枚のアルバムと、映画『Rockers』のサントラで再び音楽シーンに返り咲いた。彼は真のオリジナル・アーティストとして尊敬され1990年代に数々のリバイバル・ショーに出演し、精力的に活躍していた。彼の死は非常に惜しまれる。

●何かと話題を振りまくことに長けているVP Recordsが音源のダウンロードを正式に開始した。メジャー・レゲエレーベルで初の試みだ。3月時点ではCapleton、Lady Saw、Beres Hammondの最新アルバムのみが購入可能だったが、今後タイトル数は確実に増えていくことだろう。

●1970年代にItalsで活躍したオリジナル・メンバーのRonnie Davis、Keith Porter、Lloyd Rickettsが集まり、アメリカでコンサートを開催したらしい。ヨーロッパにも来てくれるといいのだが。

●Nat 'King' Coleに通じるヴォーカルで初めて名声を得て、Studio Oneで独自のスタイルを確立したWinston Francisの初期2作『Mr Fix It』『California Dreaming』が1枚のCDで復刻される。彼は今日でも以前と変わらぬスタイルと声質を保ち、ライヴで観る価値があるシンガーなのだが、商業主義に縛られているコンサート・プロモーターは彼の本来の魅力を見出せずにいる。残念だ。

●かつて、ギネスブックに世界最速MCとして紹介され、1980年代後半に人気のピークを迎え、Asher Dと共にPhillip 'Fatis' Burrellのもとで修行を積んだDaddy Freddyが『Hardcore』というニュー・アルバムをPot / Nocturneからリリースした。

●John Holtの100曲以上ヒットはJetstarからのCD4枚組『His Story』にまとまめられている。彼のプロデューサーのBunny Leeの作品も『The Bunny 'Striker' Lee Story』として同レーベルからリリースされている。Holtのライバルだった故Jackie Edwardsのヒットを集めた『This Is My Story』がTrojanから発売された。タイトル通りたくさんのストーリーが詰まったアルバムだろう。

●伝説の人物Augustus Pabloのファンに待望の本が刊行された。Lol Bell-Brown著の『Original Rocker』だ。彼はPabloのファン雑誌『Boom Shacka Lacka』を創刊、Clapham JunctionのDub Vendorで働いていたようだ。『Original Rocker』は隅々まで研究されたディスコグラフィーと彼によるPabloのインタビューで構成されている。Pablo関係の書籍は少なく、Bell-Brownの功績は高く評価されるべきだ。詳しくは www.dubvendor.co.ukを参照のこと。
 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)


John Holt