UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Burning Spear


Greetings Folks,
   
●ここ10年で最悪の雪嵐に見舞われている中でこのレポートを書いている。いい理由がみつからなければ外に出かける気にはならないほど寒いのだ。

●バスの運行のずさんさはよくロンドンで人々の不評をかっている。バス停に待たされる事1時間。ようやくバスが到着したと思ったら、まるで堰を切った様に次々とバスがやってくるといった事がよく起こる。この様な“現象”が昔のBurning Spearのチューンのリリース・スケジュールに酷似している。長年待ちに待っていたStudio Oneのレアな音源のリリースがあったとすると、2、3ヶ月の間に似た様なアルバムが発売されるという具合だ。最近、アメリカのHeartbeatは『Creation Rebel』を、Soul Jazzは『Sounds From The Burning Spear』をほぼ同時に発売した。2枚はパッケージングと少々の収録曲の違い以外は非常に似通っている。どの年代のものにも関わらずStudio One音源のリリースをファンは首を長くして待っているが、Burning Spear(フランス語ではJavelot Enflammeと表記する。英語より少しエキゾティックに聞こえるだろうか?)の2枚のオリジナル・アルバムは既にStudio Oneからリリースされているのだ。曲のライセンス保持者やレーベル同士が連係し、この様な事態を避ける事はできなかったのだろううか?

●Beenie Manがインタビュー、ミュージック・ビデオ、ライヴ映像等をまとめたDVDを制作中らしい。20年以上もダンスホール・シーンで活躍しただけあって、『King Of Dancehall』というタイトルも彼には似合っている。Bunny Leeによって音楽の仕事に足を踏み入れた彼は、最初にステージに登場した頃はマイクにやっと届くぐらいの背丈しかなかったのだ! 彼はR&Bシンガー、R.Kellyとのコラボも予定しているらしい。

●Elephant Manが多方面で活躍するスーパースター、Will Smithと1曲レコーディングしたらしい。

●3年程前からTrojanが復刻している2枚組CDシリーズの最新アイテムはDelroy Wilsonの『Better Must Come』だ。このシリーズにはThe Ethiopians、Gregory Isaacs、Keith Hudson、そしてAlton Ellis等のアーティストがとりあげられており人気も高い。50曲に及ぶ収録曲の大半はBunny Leeのプロダクションによる1970年代中~後半のチューンで占められているが、レアな数曲にはヴォーカリストとしての彼の違った側面もうかがうことができる。残念なことにDelroyは若くして逝ってしまったが、もし彼がアメリカ人に生まれていたら、14歳になる頃にはモータウン・アーティストのような大スターに成長していたに違いない。

●Gregory Isaacsが『Masterclass』というアルバムをGreensleevesから発売した、と前回のレポートで触れた際にJetstarも彼の新作2タイトルを出したことを省略してしまった。『One To One』はGeorge Nooksとの競演作第2弾で、ソロは『The Table Is Going To Turn』だ。これで買わなくてもいいディスクが2枚増えた計算になる!

●フランスのレーベルMakasoundが“Inna De Yard”というシリーズを開始すると以前のレポートで取り上げた。現在第1弾が発売中であるこのシリーズは、ジャマイカのスター・アーティストがアコースティックで演奏するというものだ。ギタリストでHigh Times Bandの屋台骨であるEarl Chinna Smithが最初のフィーチャー・アーティストだ。Smithはこのシリーズのアレンジ役としても活躍し、発売間近のKiddus-Iをフィーチャーした次作にも大いに貢献した。もし、このシリーズが日本で入手不可能だったら、Makasoundのウェブをチェックすべきだ。

●Queen Omegaが破竹の勢いで活躍の幅を広げている。3年間で4枚のアルバム(Jeststarから3枚、フランスのSpecial Deliveryレーベルから1枚)を発売し、現在一番ホットな女性ルーツ系アーティストであることは間違いない。更に次のアルバムの発売も間近だというから驚きだ。その新作を携え、いよいよアメリカに乗り込んでいくらしく、ヨーロッパ・ツアーも計画中だそうだ。

●正直なところ、レゲエに貢献した人々の訃報を書く場合に一番辛い時は、その訃報の多さに直面した瞬間だ。Joe Gibbsのエンジニアとして、質の高い楽曲を数多く生み出していたErrol "ET" Thompsonが昨年11月に52歳で心臓発作が原因で死去した。彼のキャリアはBunny Leeの下にいたSylvain Morrisの右腕としてスタートし、Max Romeoの大ヒット「Wet Dream」に関わった。そして、Chin傘下のRandy's Studioの要職に就いたのだった。King Tubbyとは異なったミキシング・スタイルを持ち、その違いは『Forward The Bass: Dub From Randy's 1972-1975』で確認することができる。Chinがアメリカに移り、現在のVP帝国の礎を築いた頃、ETはJoe Gibbsのスタジオで16トラックのボードを自在に操っていた。1980年代初頭にGibbsがマイアミに移る迄に彼らは“The Mighty Two”としてレゲエ界に君臨した。Gibbsが去ると彼は自らのETレーベルを立ち上げ、その運営に専念し、80年代にはFrankie Paul、Sugar Minott、Al Campbell他、数多くのアーティストのプロデュースに携わってきた。しかし、コンピューターのリズム・トラックが主流になるにつれ、彼の黄金時代は終焉を迎える。彼の音楽が再評価され始めたのは、いわゆるクラシックなレゲエに対する理解が深まってきた最近の事だ。今こそ、70年代の“Mighty Two”プロダクションの音源をJoe Gibbsがしっかりとリマスターし、復刻すべき時かもしれない。彼が残してくれた豊かな音楽に対して深く感謝したい。  Till Next Time, Take Care... (訳/Masaaki Otsuka)
 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)


Delroy Wilson