UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Admiral Tibett


Greetings Folks,
   
●Elephant Manの新作が輸入CDチャートを相変わらず賑わせているが、彼とダンスホール系ア-ティスト達のニュ-スも盛んにマスコミに取り上げられている。ここ2~3週間程、ジャマイカ音楽業界内で繰り広げられているアンチ同性愛に対する戦いの最新章が展開されているのだ。Elephant Man、Beenie Man、Vybz Kartelらのリリックが同性愛者への暴力、時には殺人をほのめかす内容を含んでいると同性愛擁護団体がクレームしている事について、ロンドン警察が捜査を開始。これに関係する“事件”としては、11/1にはSizzlaがヒースロー空港で入国を拒否された。UK治安当局のDavid Blunkett氏がSizzlaの入国を認めず、UKでのショー5回が全てキャンセルされた。ショーのプロモーターはこれについて憤慨。彼らはSizzlaのツアーの契約条件の中に同性愛を非難する内容の曲は演奏しないという項目を含み、彼はそれを了解の上イギリスに来たと主張している。又、彼はプライム・タイムのニュースにおいて、彼のリリックが反同性愛的なスタンスであったと公的に謝罪する事を拒否したと報じられている。この様なアンチ・ホモ的なダンスホール・リリックについてマスコミは、10年以上も前に、Buju Bantonがリリ-スした「Boom Bye Bye」の際に巻き起こったセンセーショナリズムの二番煎じを演じようとしている様だ。Vybz Kartelは二度と反同性愛的なリリックを書かない旨のステートメントを発表。VPとGreensleevesはゲイに対する暴力を奨励する様な曲は一切リリースしないという態度を明確にしている。ダンスホール系アーティストは女性に対してもかなり失礼なリリックを書いており、女性権利擁護団体等がそれらに対してクレームを未だにつけていないのが不思議に思われる。

●London Jazz Festivalはいつも大物が素晴らしい演奏を繰り広げる事で名高い。僕にとって入場券の値段以上の価値があったショ-はCarla Bleyが率いるThe Lost Chords Quartret、ギターのJohn Scofield、キーボードのLarry Goldings、ドラムスにはJack De Johnetteよるトリオだ。彼らはJohnとAlice Coltraneの息子、Ravi Coltraneと70年代に活躍したグループ、Lifetimeの音楽を披露し、喝采を浴びていた。

●2004 Heros Weekendでジャマイカの音楽業界の発展に貢献した人々が表彰された。John Holt、Sonia Pottinger、Bunny & Skully、Ernest Ranglin、そしてChris Blackwellらがその実績と栄誉を称えられた。Blackwellがジャマイカ特別奨励賞を受賞した。しかし、Blackwellは既にその賞を随分前に受賞してた様な気がするのだが…。

●長いことJetstarのヘッドA&Rを務めていたPaul Nash AnthonyがH2 Recordsを立ち上げた。彼はJetstar時代に数多くのヒット曲と実力派のアーティストを輩出したが、今後の展開をどの様にするかを慎重に考えた末の結論らしい。記念すべき初リリースは『Contemporary Roots Reggae : Vol.1』。内容は素晴らしいが、余りにも地味なタイトルになってしまった。Morgan Heritage、Luciano、Capleton、 Anthony B、Admiral Tibettらベテラン勢による曲を始め、Richie Spice、Yami Bolo、Sizzla、Chezidecらのチューンも収録。このアルバムは初リリースとしては出色の出来であり、現在のルーツ・レゲエ・シーンを的確に反映している。

●CD登場以来、Island、Tuff Gong、そして Universalは大量のBob Marley作品を復刻し続けている。オーストラリアでプレスされた最初の復刻CDの質の悪さを知っているなら、新たなリマスタリング盤がリリースされる事は理解できるだろうが、それ以外の音の良い復刻盤を持っていたとしても、レコード会社はまだ新たなプレス盤をファンに買わせようとしいる! 一体どの様に? デラックス・エディションの『Catch A Fire』等に次いで、レコード会社が考えついた“仕掛け”は、新たなデラックス・パッケージの『Burnin'』のリリースだ。それにはThe Wailersによる73年Leeds Polytechincで行ったライヴが収録されている。Bunny Wailerがこのライヴが行われたツアーの前に脱退しているが、グループのディスコグラフィーには欠かせない重要なCDである事は確かであり、その事をレコード会社もよく理解していたのだろう。

●ちょっと昔にヒットを飛ばしたエンジニア、Bitty McLeanの『On Bond Street』が予想以上のセールスを記録している。チャート・インしてから暫く経つが、その勢いは衰えそうにもない。これをリリースしたのは、Shepherds Bushにある個人経営のPeckingsというStudio Oneの品揃えの良さで知られているレコード店というから驚きだ。本作を簡単に説明すると、Treasure Isleのトラックを使いBittyが歌を乗せているだけのものだが、彼自身による絶妙な編集が施されており、それが見事に功を奏している。昔のリディムを見直そうという現在のトレンドを象徴している。

●Birminghamを拠点にしているプロデューサーのPhillip Gaddは、80年代に質の良いラヴァーズ・ロック・チューンを数多くプロデュースしてきた。彼は最近、60年代にLynn Taitt & The Jetsによって作られLeslie KongのBeverleyからリリースされたトラックを使い、Peter SpenceとCarlton Livingstoneの歌をフィーチャーした曲を発表し、好評を博している。

 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)


Buju Banton