Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Horace Andy
Greetings Folks,
●MOBOアワードにおいてのElephant ManとVybz Kartelのノミネーション失格、Beenie Manのイギリス・ツアーのキャンセルのニュースで等でUKはまだざわついている。活発な同性愛擁護グループ "Outrage!" を率いるPeter Tatchellに対して、彼の殺害をほのめかす脅しが多数あったと最新のニュースは伝えている。Sunday Times紙は「Tatchellの暗殺を企てている者は、彼同様に強い信念を持った人物に違いない」と報じている。ジャマイカの同性愛擁護者、Ben Williamsonが今年の6月に暗殺された事実を踏まえれば、これは単なる冗談ではすまされないだろう。ジャマイカ版 "Outrage!" ともいえるJ-Flagのメンバーも身の危険を感じ次々と国外に逃亡したらしい。反同性愛に関する法律がこれまでジャマイカで改正されことはない。政府が法改正をするかもしれないという動きが浮上すれば、必ず暴動まがいの騒ぎになってしまう。この問題についてのニュースは途絶えそうにない。
●Clinton FearonとGallimore Sutherlandの二人が出たり入ったりし、Albert Griffithsが唯一のリード・シンガーとして固定されているだけだったりするが、Gladiatorsは他のグループに比べ、廃れずに活動していると言えるだろう。最近、そのAlbertが40年の活動に健康上の理由から終止符を打つことになった。現在、バンドでドラムを叩いている彼の息子が父親のあとを継ぐことになった。Gladiatorsというバンドはこうして生き延びるが、Bob Marley抜きのWailersのような失敗バンドにはなって欲しくない。そうなってしまったら嘆かわしいことだ。
●70年代の『Black Star Liner』やVPからの『Missing Link』(彼の黄金時代のセッションのリミックスとそれほど力の入っていない1996年のXterminatorsからのセットのコンピ)を発表したFred Locks。彼は、リスペクトされているもののイマイチ評価が低い。近々、そのLocksがWayne Hindsをプロデューサーに迎えニュー・アルバム『The Rebirth Of Fred Locks』を発売するらしい。まだ聴いていないが、彼のパーソナリティと名声に見合う内容のことであることを望む。
●フランスのサウンドシステム、Soul Stereoが10月にStudio Oneに敬意を表する内容のツアーを予定している。DJのLone RangerとヴォーカリストのCarlton Livingstoneが同行するので、彼らはツアーにオーセンティックな雰囲気を付け加えるだろう。僕はRangerを23年前に見ているが、アメリカ在住のLivingstoneにはまだ会ったことがない。ともかく、このツアーは期待できそうだ。
●僕はBuju Bantonのショーは、UKでもフランスでも行ったことがない。残酷に表現すれば、最近のアルバムで彼がとったスタイルに全く興味が涌かないので、ライヴに行く気が起こらないのだ。僕にとって彼の生臭い昔のスタイルのヴォーカルだけに関心があり、90年代の後半にポストBob Marleyだと騒がれたことに一切興味はない。しかし、彼のマインドとメッセージは正しい方向を指しているので、最近の彼の直面している問題については気の毒に思う。少し前になるが、ジャマイカ警察は彼のAksumスタジオでマリファナが栽培されているのを発見し、Bujuをマリファナ所持及び喫煙で逮捕した。弁護士の擁護により、所持の疑いのでは告訴されなかったが、喫煙の件では裁判沙汰になった。判決は釈放金として9,000ジャマイカ・ドルを支払うか60日間の懲役と下された。この罪によって、彼がアメリカに行った際にジャマイカに強制送還されるはめになった。そして、送還の前にマイアミの税関でなんと18時間も拘束されたのだ。最新情報では“自国の文化に貢献したことを認めた司法局の寛大な考慮により”彼には特別な旅行ビザが付与されたらしい。
●僕の友人、BB Seatonにとって悲しい知らせが入ってきた。彼は18年間もUKに居住し、既に活動を停止しているGayladsのリード・シンガーとコンポーザーを務めていた。最近、髄膜炎の悪化による記憶喪失症により精神科専門施設で治療を受けた。現在は回復し、彼は自叙伝的な本の執筆を開始したようだ。しかし、その中で、彼はジャマイカ音楽に関して書いている“外国人”ライターらに対して「ジャマイカに全く足を踏み入れずにジャマイカ音楽について書いているヤツもいる」と痛烈な批判を折り込んでいるらしい。彼の心理状態についてはここ2~3年会っていないので分からないのだが、その否定的意見はともかく、著書は非常に興味深いものになりそうだ。彼は60年代にKen Bootheと共にCoxsone Doddから離れ、アーティストのための生活共同組合のような組織を設立した偉大なる才能を有する男だ。Seatonはその後、ジャマイカで苦境の2年間を過ごした後、20年以上にわたり音楽ライターを続けてきた。彼は僕のことを他のジャーナリストを見るような目で見るのだろうか? 幸運を祈るBB!
●1970年代テイストの素晴らしいルーツ系の12インチをお探しなら、Ijahmanの「I'm a Levi」 (長い歴史を持つJahmanレーベルからのリリース)をお薦めする。実はコレ、Islandレーベルから発売の『Hail I Hymn』の前にUKでプロデュースされた曲をカットしたもので、ヘヴィーな "Jah Shaka Dub Mix" がB面には入っている。レコード店で見当たらない場合は、Dub Vendorのウェブをチェックしてみるといいだろう。
●UKレゲエの先駆者プロデューサーのうちの一人、Siggy JacksonによってBlue Beatレーベルが復活し、イングランド南東に位置するLymingeという小さな村からオペレートし始めた。No. 1 Stationというバンドの2枚の7インチ「Bush War (c/w Laurel Boogi)」、「Mods v Rockers (c/w Saturday Night)」が再始動後初リリースなのだが、両作ともお世辞にもいい作品とは言えない。地元バンド、IntensifiedもBlue Beatから『Dog House Bass』というアルバムのリリースを10月に狙っているのだが、これもバンドの売名行為以外のなにものでもない。Folkestone町で活動を続けている同バンドは最近、長年のメンバーだったドラマーのTerryが抜けた穴を埋めるはずだったBruceも脱退してしまったので、ドラムのインストラクターをメンバーにあてがっていると聞いた。彼らは伝説的なDave Barkerと多数のセッションを重ねており、大御所は彼らと音楽作りを楽しみにしているというので、Good Luckと伝えたい。
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
(訳/Masaaki Otsuka)