レゲ絵 第18回
ザ・メイタルズ
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana


 
 マーティン・スコセッシが総監督をやった例のブルーズの映画のシリーズ、“The Blues Movie Project”を吉祥寺のバウスシアターに通って見続けている。何故か公開を見送られた「ピアノ編」は衛星放送を友人がヴィデオに録ってくれたやつで見たから、全7本中あと2本残るのみだ。かなりトンチンカンな部分もあるが、話題提供という意味では確かに大きい。そもそも、去年、アメリカ政府だかが2003年をブルーズ誕生100年記念、と制定したことから始まった企画で、最初っから無理があると言えばあるわけよ。

 例えば「メンフィス編」では、ロスコー・ゴードンをかなりデカくフィーチャーしてる。おまけに、黒人向けのラジオ局(WDIAのことだったと思う)が勢力を持って南部一帯で聞くことができた、なんてナレーションもバンバンあるのに。『Blue Beat Bop!』の読者ならおわかりの通り、そのBlack Radio Stationは、南部だけでなく、カリブでも聞くことができて、例えばジャマイカではR&Bが人気となり、レゲーの誕生にも大きな影響を与えた、その大スターの一人がロスコーであり、ファッツ・ドミノ(メンフィスには関係ないが)だったという「肝心」な所は全く無視。全然わかってネーよ、全然。ロスコーは、撮影終了後に亡くなっている。彼はメンフィスのCD屋で、こう言ってのけた。「ここじゃオレは無名だが、イギリスに行きゃ、オレの全作品がCDショップに並んでいるんだぜ」とね。ケッサクだ!

 メンフィスのブルーズの映画を撮るだって? タコだなー、まずメンフィス行ってどーすんだよ。ジャマイカのトゥーツにお伺いたてろっての。