UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Gregory Isaacs


Greetings Folks,
   
●レゲエ部門にノミネートされたアーティストについてThe MOBO Awards※がマスコミに叩かれている。現在、ラガ&ダンスホール系アーティストの中で最も売れているであろうElephant ManとVybz Kartelが同性愛擁護団体からのヒートアップした批判にさらされている。「彼らのリリックにはゲイを殺すことをほのめかす反ホモの痛烈なメッセージがこめられている」というのが団体の言い分だ。こういったケ-スとしては珍しく、当人のVybz KartelがBBCラジオの朝のニュース番組でこの批判に対して口を開いた。彼は「ジャマイカはホモやレズビアンに対して非常に厳しい国として知られていて、その態度は国の文化に根強く織込まれており、すぐには変えることはできない」と述べた。アンチ・ホモセクシュアルなレコードを作ると、アーティストにとって国際的な活動に支障をきたすことが、この騒動で浮き彫りになったともいえるだろう。ホモセクシュアルに対するジャマイカのマスコミの態度も昔と比べて大人しくなったとは思えず、同性愛はタブーであることに変わりは無い。この問題は10年以上も前から存在するジャマイカ音楽に対する“見えない反感”の根元であり、今後、深刻化していく恐れがある。 (※Music Of Black Origin、アーバン・カルチャーから生れた音楽であるレゲエ、ヒップ・ホップや、クラブ系のアーティストの活躍を称えるイギリス最大規模の音楽祭典の一つ)
●マスコミの過剰な反応により、Beenie Manもイギリスのショーをキャンセルさぜるおえなくなったらしい。

●Montego Bayで盛大に行われた「Sumfest」からはいいニュースが入ってきた。Club InfernoでのFoundation Nightはベテラン・アーティストのファンにはたまらない内容だったらしい。Ken Boothe、Fred Locks、Johnny Clarke、Gregory Isaacs、Alton Ellis、Wailing Souls、そして、Sugar Minottらが次々にステージに上がった。特にSugarは観客を大いに沸かし、来年のSumfestのDancehall Nightへの若いアーティスト達への指南役としての出演をステージ上で約束されたほどだ。Dancehall Nightは最高の盛り上がりを見せ、Turbulence、Wayne Marshall、Vybz Kartel、Lt. Stitchie、Lady Saw、Beenie Man、Bounty Killer、Elephant Manら錚々たるメンツが出演した。

●私は、ロンドンやイギリス国内で大きなレゲエ・イベントが最近行われていないと嘆いていたのだが、その必要が遂になくなった。ロンドンの東にあるVictoria Parkで「Reggae In The Park」というビッグ・ダンスが9月に開催されることになった。出演アーティストはFreddie McGregor、Marcia Griffiths、 Sizzla、Barrington Levy、Vybz Kartel、Gregory Isaacs、そしてThe Mighty Diamondsだ。今年トラブルが起こらなければ、来年も同規模で開催されることになるだろう。

●CamdenにあるThe Jazz Cafeの年末までのラインアップがスゴイことになっている。8月には、まず、東京スカパラダイス・オーケストラがズ太いサウンドを響かせ、その後にはCulture、Arrested Development、Bilal、George Duke、 Lonnie Liston Smith、Horace Andy、 Steve Coleman & Five Elements、Mica Paris、 Bad Plus (パワフルで素晴らしいピアノ・トリオ)、そしてJose Felicianoが続く。

●少し前のリポートで触れたMaxi PriestがイギリスでシングルをリリースしたRelentlessレーベルから発売の「Fields」というアコースティックな雰囲気の曲は、また彼をインターナショナルなスターダムへと導いてくれるだろう。

●Ariwaレーベルを少し前に去ったWolverhamptonに拠点を置くDJ、Macka BがJetstarからのアルバムで見事に復活を果たした。

●もし、あなたが、ジャズの天才、Thelonious Monkの音楽が好きなら、Specificレーベルからリリースされた元Gary Crosby Nu-Troopのサキソフォニスト、Tony Kofiがアルバムをチェックすべきだ。彼のクヮルテットはMonkの音楽を巧みに再定義しながら独自のスタイルを確立している。スタンダードなナンバーもあれば、隠れた名曲も散りばめられている。必聴だ。

●Sanctuaryに買収された後のTrojanからの怒濤のようなリリース・ラッシュには正直なところついていけない。コンピレーションやRASレーベル(Sanctuaryが所有している)からの新譜も含め、まるで世界が明日に終わるかのごとく、おびただしい数のアルバムを放出している。最近発売になったものにはThe Heptones、Dillinger、Yellowman、Tappa Zukie、Barbara Jones、Winston Groovy、Byron Lee & The Dragonaires、Sophia George、Chakademus & Pliersなどがある。なにしろ数が多いので購入には細心の注意が必要だ。


 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)