Island Express
"Jam Wave"
Reiko NAGASE SMITH(協力 アイランドツアー)


 

 ジャマイカでは色んな葉っぱやハーブ類を、料理やお茶、薬代わりにするのが生活の一部となっている。
 お茶にするハーブで有名なのは、フィーバーグラス。レモンの香りがする葉っぱで、レモングラスとも言われ、タイ料理などに使われるから、日本でもよく知られている。お茶は熱さましや胃痛に効く。オイルにもなって、そのオイルを肌に塗れば虫除けになるというし、デオドラント効果もあるらしい。

 セラシーというハーブは腹痛に効くことで有名。かなり苦いのが難だけど。これは庭にでも植えておくと、いやというほど蔦になって育つ。

 今はブレッドフルーツのシーズンである。ブレッドフルーツは、訳すと「パンの実」。イラスト参照。大木にぶら下がる、緑のダイナマイトみたいなのが実。ローストしたり煮たりするとお芋みたいにほっこりして、お芋より軽くて歯ざわりがよく、美味。主食として食べるから、「パンの実」なんて名前がついている。この木は日本にもある。日本では実がつかないだけ。アキ&ソルトフィッシュなどととっても合うわね。ジャークチキンにもいいよ。ブレッドフルーツの木の葉っぱは、お茶にして飲むと低血圧によいとされる。この木の樹液は伝染性の皮膚病に効くという。

 ブレッドフルーツが豊富なこの時期、トレンドダンスのひとつになりつつある、「アクティヴ・マンデイ」にハマっている。キングストンを北に抜けたキャッスルトンから、さらに山奥に入ったGibbs Hillという村のダンスだ。セントメアリーに入るが、キングストンから車で約1時間の距離。村のダンスといって侮(※ルビ→あなど)るんじゃあないぞ。トラベラーズ、Swatch、メトロメディアなど週代わりでやって来て、だんだん大きくなってきている。入場無料。そういうの毎週、しかも月曜日にやってるっていうのが凄いでしょう。ココは'80年代に流行ったあるサウンドの出身地だというからねぇ。3ヶ月前に始めたダンスが今や、村の人口以上の人が集まるほどの勢いで、大人気。いやほんと、カントリーの人たちって、エンターテイメントに飢えているんじゃないか、という反応を見ることがあるけれど、このダンス、タウン(キングストン)から来る人が多いという。

 3ヶ月前に始めたときには、サウンドシステムではなくて、車のサウンドを使ったというから驚き。今やタウンのダンスみたいに、著名ビデオマンから、ビデオの大きなスクリーンから、人気ダンサーや、DJも来る。チャック・フェンダーがマイクを握ってた。

 先日行ったときは予告のない停電で(まあジャマイカ、停電も断水も予告はいつもないとしたもんだが)、月と星の明かりの下、サウンドはジェネレーター(発電機)で作動していた。水はないわ、電気はないわ、ディジセル(ジャマイカの携帯電話会社)でさえ圏外で、電話は通じないわの三重苦。

 でもさ、山から湧き出るスプリング・ウォーターがこの村を支えていて、山を降りればニューキャッスルの川で水浴びができる。人々は水を運ぶのが生活の一部となっているので、皆姿勢よくほっそりとしている。運動不足の人などいないんだろうな。エアロビクスってなんだろな、と私は自分でやりながら思う。豊かさとは何だろう、なんて考えてしまうのである。

 ジャマイカの醍醐味はやっぱりカントリーかな。マイ・カントリーというべきお気に入りの場所を見つけると、また一段と楽し。

 サウンドシステムもビジネス化し、以前はよく見かけたコミュニティのサウンドシステムっていうのが薄れた感があるのが、少し淋しいような。それでもダンスはそれぞれ特色があって、お気に入りのマイ・ダンスがきっと見つかるよ。2004年はダンスの年です。ジギジギジギジギウェディウェディウェディ…。



Text and Illustration by Reiko NAGASE SMITH
ext and Illustration by Reiko NAGASE SMITH
Ricoのジャマイカ★ArtLife:http://www.ricoart.com
協力/アイランドツアー:http://www.islandtour.jp