(U KNOW)What the deal is
 
 暑中お見舞いか? 
この原稿を書いている時点では、イラク新政府のヘッドは、CIAの工作員だったとすっぱ抜かれたばかりで、増々誰が本当のワルか浮上している。  結局、サダームが捕まっても収まらないイラクは、多国籍軍を歓迎どころか、国を乗っ取られるという恐れで戦っている訳で、加担している我々は非常に気分が悪い。戦勝国が歴史を書くのは常だが、ヴェトナムで負けを認めていないアメリカは、正史という名のもとに人民の生活を奪いかねない欺瞞に満ちた何かを書いている。我々がこれに対抗する方法は無いのかと、俺に訊いて来る人がいる。俺が答を持っていないとでも思っているのだろう か? 答はあるが、実現可能とは思えない。なぜなら、世界の人民が連帯しなければならないからだ。しかし、最初は単体でも出来る。君の街で、一日でいいから、抗議の意味で、金を一切使わないというデモをやってみたらどうだろう? 宝石や貴金属を戦争が終わるまで買わないというのでも良い。経済制裁しか手は無い?

●今月のインタヴュー
 先月、デフジャムと契約の運びとなったシャインが、獄中からのFM局、ホット97のインタヴューに応じ、来年の始めには出所すると示唆した。午後のアンジー・マーティネズの番組のインタヴューで、出所後の予定と、刑期中に既に始まっている自身のレーベルについて語ったシャインは、あらためて自分の無実を主張、事件では、もう一人、ガンマンが関わっていたとも言及、オリンピック景気に当て込もうとしている裏切り者パフィの立場を危うくしている。しかし、「俺は、チクリじゃない」と、インタヴューでは、ガンマンの名前は決して明らかにされなかった。更に、「俺は誰も撃っていない。不法所持で10年務めるのは有り得ない。10年の監察なら分かるが」とも語り、無実をアピールした。そして、8月にデフジャム傘下の自身のレーベル、ギャングランドからドロップされる自身のレコードについても語っている。とにかく、刑務所内で大量のフェデックスと電話連絡が行われているのが、彼の房というのが事実?

●今月の吸収劇
 ヒップホップには創世記から縁のあるスニーカー会社、プロケッズを、なんと、デーモン・ダッシュ率いるロッカフェラが買収していた。受刑中のロッカフェラのアーティスト、ビーニー・シーガルが大ファンというこのオールド・スクーラーのチョイスだったケッズは、彼のライムにも多く登場し、若いファンも興味を持った様だが、ビーニー自身のモデルを出すなど、ヒップホップ経済にあやかろうと健闘していたが、やはり大手、今の戦争にも大きく絡んでいるナイキなどには太刀打ち出来ず、この結果となった?

●今月のオリンピック
 日本では、どんな人達が聖火を担いだか知らないけど、NYじゃ、ディディが聖火持って走るらしい。誰か撃ってくれないかな? 6月下旬に予定されているNYでの聖火ランナーで、公立の学校への寄付集めで“男を上げた”パフが、ランナーの一人としてブルックリン・ブリッジを走るらしい?

●今月のミックス・テープ
 またミックス・テープというか、CDに姿を変えたモノがあちこちで取沙汰されている。“グレイ・アルバム”なるジェイZと、ビートルズの音楽をミックスしたデンジャーマウスが、NYのバウリーボールルームで、自らのMC、ジェミナイとパフォーマンスを行った。自身で発売しているミックス・テープの内容をライヴで行い、後半は自身の曲にジェミナイが絡むというスタイルのショウで、法的な問題は別として、改めてヒップホップの要素であるDJのリミックスの重要性を定義した。片やコーナーストーンという、アメリカの多くのミックス・テープを手掛ける会社の60本記念のイヴェントも行われた。かつてトミーボーイのブラック・レーベルのヘッドだったクリス・アトラスのこの会社だが、ゲストにナズやデ・ラ・ソウル、なんとブランド・ニュビアンに、ブラック・シープも登場。デ・ラのメイシオは、ここからテープを出す予定との事。ここでも単純にイリーガルと言わず、「重要な要素と認めよう」の一点張りだった。しかし、アーティストがシノギを削る中、ミックス・テープ御殿を建ててるヤツがいて、どうなのかね? 俺のミックス・テープも誰か出さない? ご意見、ご感想は、bfstnyc@nyc.rr.comまで。

●今月の写真
 70年代ライティング界のスター、パイパーの珍しいタグ。





沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]