Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Yami Boro
Greetings Folks,
●先月に引き続き暗いニュースが続く。Phyllis Dillonが癌との長い闘病生活の末、4月15日にニューヨーク州、ロングアイランドの自宅で息を引きとった。60歳だった。彼女がキングストンのクラブで歌っていたところをSupersonicsのギタリストLynn Taittが見い出し、Duke Reidが主宰するスタジオのオーディションに参加したのが1965年だった。DillonはAlton EllisとBoris Gardinerらと組んだ「Don't Stay Away」を始め、Treasure isleからヒットを連発したが、ジャマイカ音楽業界の将来的な財政面の不安定さを嫌い、1967年後半にアメリカへ移住した。1973年まで彼女は毎年一回はジャマイカに赴き、Reidのもとでレコーディングを続けた。彼女のディスコグラフィーは、ほぼ全てアメリカン・ソウルとポップスのカヴァーばかりだが、Alton EllisやHopeton Lewisとのデュエットをフィーチャーした素晴らしい曲も数多くあった。1980年代後半にロック・ステディのリバイバル現象が起こるまで、彼女の活躍の場はジャマイカ人のバンドを従えたアメリカのキャバレーでのショーのみだった。ロック・ステディ人気が高まり始めると、彼女はヨーロッパ、カナダ、日本などを定期的にツアーした。このところ彼女が健康を害しているとは知っていたが、今年のツアーがキャンセルされたのは彼女が2月に入院してからのことだ。入院後、癌が進行し、もう為す術が無いことが判明すると彼女は自宅へ戻され、最後の時間を住み慣れた部屋で過ごしたらしい。今となっては、ジャマイカの黄金時代を築いた女性シンガーは数少なく、Phyllis Dillonの死は音楽業界にとって本当に悲しい知らせだ。
●不幸なことに悪い知らせが続く。もう、すでに読者の方は御存じだと思うが、オンリー・ワンの存在だったStudio Oneの主宰者Coxsone Doddが心臓発作のため5月4日に亡くなった。Clement Seymour Dodd (1932-2004)の人生と彼の業績については様々な形でドキュメントされているが、レーベルからリリースされた(またはお蔵入りした)全ての曲を収集することは不可能に近いだろう。このリポートで彼の功績と“Studio One大学”で学んだシンガー、グループ、DJの名前を掲載することは到底不可能な程、彼の影響は巨大だ。なんと、彼の輝かしい功績はジャマイカ政府にまでも認められた。最初のStudioOneがあったBrentford通りを“Studio One Boulevard”と改名したのだ。Doddの死はジャマイカの音楽業界にとって非常に大きな衝撃を与えている。ただ単にプライベート・ライフがミステリーに包まれているレゲエのゴットファーザーがいなくなっただけではない。Doddの作品はHeartbeat、最近ではSoul Jazzといったレーベルからリリースされているにも関わらず、StudioOneの廃盤アイテムのリリースを熱望するファンは沢山いるはずだ。Dodd帝国をコントロールをしていたボス亡き今、恐らく相当の数の海賊盤が出回ることとなるだろう。彼の死は本当にショックだ。 った。悲しい知らせだ。
●誰が正当に(法的に)The AbyssiniansやBlack Uhuruとしてツアーできるかが問題なっていると以前のリポートで触れたが、同様のシチュエーションが日本でも起こっているらしい。東芝EMIからThe Wailing Soulsの新譜がリリースされるというのだ。僕は誰が“ニセモノ”を演じているのかはわからないが、グループの創立メンバーのLloyd McDonaldとWinston Matthewsは気を悪くしているに違いない。
●僕はかつてロンドンの中心街の東側で働いていたが、その事務所の目と鼻の先にあったGee Street Recordsが『Two Culture Clash』というコンピの内容と参加アーティストを発表した。基本的にはFat Boy Slim、Chemical BrothersやCassiusなどがトラックを制作し、Barrington Levy、Ward 21、General Degree、Nadine Sutherland、Tanya Stephens、Big Youthらのジャマイカのスター達がヴォーカルをのせるそうだ。
●Ruff Cutt Bandの元ドラマーのTrevor Faganが現在はフランスに住み、フランスのレゲエ・アーティストのプロデューサーとして成功を収めていることを知っているだろうか? 彼はDaddy Mory、Lord Kossity、そしてNutteaらフランスの国民的アーティストをプロデュースし、今はTonton Davidとの仕事に勤しんでいるらしい。フランスは国際的なレゲエ・アーティストにとってオアシスになっているようで、Earl 16、Max Romeo、Toots & The Maytals、Ijahman、Macka B、Anthony B、Junior Kelly、Jah Mason、Turbulence、The Skatalites、Mystic Revelation Of Rastafari、Frankie Paul、Michael Prophetらが最近ライヴを行った。この夏、南フランスでは沢山のレゲエ・イベントが予定されており、中でも最大規模のものが3日間に渡って開催される「'Ja' Sound」フェスティバルだ。その第1日目はStudio Oneの50周年を祝い、Rico Rodriguez、Dave Barker、Alton Ellis、Dennis Alcapone、そして“Original Downbeat Sound”の一員としてKing Stittが登場予定だ! 残りの2日間にはLittle Roy、Michigan & Smiley、Linval Thompson、Mikey Dread、Big Youth、Junior Delgado、Yami Bolo、Tony Rebelらが出演予定。このイベントについての詳細はwww.jasoundfestival.comでチェック可能。
●6月と7月には Capleton、Steel Pulse、T.O.K、Ziggy Marley、Mr Vegas、Beenie Man、Luciano、Lucky Dube、Sean Paul、Elephant Man、Wayne Marshall、Vybz Kartellがパリでステージに上がる。フランスに家を買ったことはどうやら“吉”とでたようだ!
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
(訳/Masaaki Otsuka)