レゲ絵 第14回 
ジョン・ホルト
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana


 
 1959年発売の講談社「世界童話文学全集」の第12巻『アラビアン・ナイト』を読み直してみた。つまりコドモ用に翻訳されているわけで、元々のエロい記述などは、すべて検閲に引っ掛かっていたのだろう。巻頭が「アリババと40人のとうぞく」。アリババは貧乏である。兄貴のカシムは金持ちだ。その理由、覚えてますか? アリババが裕福でない奥さんと結婚したから。兄は長者の娘を娶ったから。ううむ、就学前の鼻タレに、日本とはかなり食い違ったそんな世界観をいきなり説いたつもりか?

 カシムの名前を聞けば、そうだったなと思い出さなくもないが、例の賢い女中の名前は全く記憶になかった。モルジャーナである。素敵。だが、この物語に馴染めなかった、何度も読まなかった理由は、彼女が音もなく、40人もの(本当は37人だったかな)盗賊を次々に殺戮する方法だ。これは覚えているでしょう、「煮えたぎった油」を、輩が隠れているカメに注いでいくという。ああ怖い、今でも怖いよ。

 オリンピックのあった、あのイカしたサラエボがボコボコにされて、オレは「グレてやる」と誓ったね。バグダッドだってそうさ、絶対死ぬまでには行ってみたい街に入るもん。あの市街は世界遺産じゃねーのか? テメーらふざけやがって、大統領がホワイトハウスで秘書のオメコを葉巻(ってのが泣かせるぜ、キューバ物か? バカ)でグリグリしてるような国のくせして。あの虐待の写真、「オカマ・ショー」だと思ったよ。