レゲ絵 第12回
ボブ・マーリー
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana
赤富士の樹海に吸い込まれていく。裏切られた恋人。上司に責任を押し付けられたサラリーマン。喉の潰れた歌歌い。目の不自由になった映画監督……成仏出来ないソウルたちよ、「歌を忘れたカナリヤ」たちよ!
樹海の主は獅子だったのか。ピンク色のバッド・ムーン・ライジング。遠くから聞こえてくるナイヤビンギの太鼓。激しいセックスの、しかしあいまいな記憶。
お前は、赤い目をして、このちっぽけな領国に魅せられし者を、まるで門兵のように拒もうとしているのか。あるいは「おいでおいで」をしているのか? オレにはわからない、ずっと昔からわからなかった。確かなことは、ただ一つ、入ったら最後、出られないということだけだ。
コンクリート・ジャングルでは、すなわちバビロンでは、お前の顔の描かれたシャツを着て、若者が歩いている。お前が「着ていた」ジャージが、「弾いていた」ギターが復刻されている! どんな気分なんだい、ゲバラやマルコムX以上に人気があるってことは。
獅子はもう、吼えることはない。赤い目をして、まだ立っている。