Two Big Vintage Dance
Reggae Magic & Down Beat Uprising
 
Text by Takenori Ishikawa
 
Phyllis Dillon
 
 オールディーズ・バット・グッディーズ。今年の春はジャマイカン・ミュージック・ファン必見のふたつのビッグ・イベント(「レゲエ・マジック!」「ダウン・ビート・アップライジング」)が開催。予習と復習を兼ねて、各アーティストの魅力を紹介しよう。

Carlton & The Shoes
 
 春真っ盛りの4月、5月とゴールデンウィークを挟んで、ふたつのオールディーズ公演が開催される。つまり、ジャマイカの音楽史を語る上で欠かす事の出来ないヴェテラン大御所アーティスト達が大挙して来日するという訳だ。

Winston Francis
 
 まずは4月に名古屋、大阪、広島、川崎で開催される「レゲエ・マジック!~ゴールデン・ロック・ステディ」から。このイベントは昨年も東京・日比谷野外音楽堂で行われた「ゴールデン・ロック・ステディ」の流れを汲むイベントで、毎回熱心なレゲエ・ファンを楽しませてくれているのはご承知の通り。今回のメンバーも凄いぞ。何と来日公演としては92年にオーバーヒートが企画制作した「ロック・ステディ・ナイト」以来となるカールトン&ザ・シューズ、そして「Queen Of Rock Steady」フィリス・ディロン、更に「Mr. Fix It」ウィンストン・フランシス。バックを務めるのはファブ5という、文句のつけようが無いメンツ。今回を見逃すと、次に出会えるチャンスは無いかも知れないね、特にカールトン&ザ・シューズは…。そのカールトン&ザ・シューズはロック・ステディ全盛の時代にも、その後にも、光り輝くオリジナリティ溢れるソング・ライティングとファルセット・ヴォイス&コーラス・ワークが魅力的なのだが、その歌声をナマで味わえる又と無い機会。ロック・ステディというスタイルの枠だけでは語りきれない、偉大な音楽家としての魅力に気付くはずだ。
v Prince Buster
 そして、こちらは95年の来日公演以来となるフィリス・ディロン。未だ衰えていないと言われるあのヴォーカルで、「Right Track」、「Perfidia」などなどの名曲を聴かせてくれるはずなのだから、たまりません。まあ、私がここで書くまでも無く、楽しみにしているファンの期待を裏切ることは有り得ませんが。
 
Errol Dunkley
 96年にゲイラッズの一員として来日したこともあるウィンストン・フランシスも、ソロ・シンガーとしては今回、初めての日本公演となる。彼の名作と言えば「Mr. Fix It」、「California Dreaming」の2曲だが、例えこの2曲しか歌わないとしても、個人的には大満足です。もちろん今も現役バリバリのシンガーで、60年代にリリースされたシングル曲「Ten Times Sweeter」が現在、UKのチャートに入っているとのこと。この歌もぜひ。
 

 
 方や、5月に東京と大阪で開催される「ダウン・ビート・アップライジング・ジャパン・ツアー 2004」の来日組は、昨年の来日公演も大好評だったプリンス・バスター(ウィズ・デタミネイションズ)、エロール・ダンクリー、そしてデニス・アルカポン。こちらのメンツも素晴らしい(他にも来日アーティストが決定次第発表とのこと)。スカの大御所と、時代を股にかけて活躍しているシンガー、そして超ベテランのDJという組み合わせ。しかもセレクターとして登場する人物達もヤバイ奴らが揃い踏み。それぞれどんなプレイをしてくれるのか、今から楽しみでならない。

 因みに両公演とも、上記アーティストだけでなく、日本の精鋭アーティストの出演が決定している(川上つよしと彼のムードメイカーズ、レゲエ・ディスコ・ロッカーズ、ザ・マイスティース、リトル・テンポ、スリー・セヴン、ザ・ルード・プレッシャーズ、スライ・マングース)。彼らが前述の来日アーティストを食ってしまう名演を見せたとしても何の不思議でもないでしょう。とにかく4月の「レゲエ・マジック!」、そして5月の「ダウン・ビート・アップライジング」ともに見逃せません。