UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Johnny Osbourne Outside Jammy's Studio


Greetings Friends,
   
●Ken Boothe、Sugar Minott、Max RomeoとEthiopiansらのヨーロッパ・ツアー後にはJustin Hinds、Strange 'Jah' Cole、Don Carlos、そしてSister Carolらが欧州各地でライヴを行った。しかし、最近の傾向として大物アーティストがイギリスを訪れることがどんどん少なくなってきている気がする。残念なことだ。

●「Gilbert」や「Man Shortage」などで名声を得たが、1990年代前半から目立った活動がなかったDJ、Lovindeerが36曲収録の2枚組CDをリリースするらしい。『A Jamaica We Come From』と名付けられたそのアルバムには彼のウィットが満載であり、イマイチ評価が低かった彼の実力が十分に反映されたアルバムだと思う。

●Mad Professorと彼のAriwaレーベルとの長い付き合いのおかげで結構稼いでるU-Royが、近頃フリーランス活動を活性化してきた。彼の名前は数々の7インチや他のアーティストのアルバムのゲスト・アーティストとしてクレジットされている。フランスのTabou 1レーベルからのリリース『Serious Matter』の後に続く最新作『Rebel In Styylle』(いかしたスペルだ!)にはAnthony B、George Nooks、そしてBushmanらが参加している。ヨーロッパのディストリビューターにはNocturneが選ばれたようだ。

●イギリスを除くヨーロッパ本土で、間違いなく一番有名なレゲエ・アーティストであろうBurning Spearが、Nocturneから彼自身のプロデュースによる5枚のアルバムを再発売する。ロック色を出すためになぜかJefferson Airplaneのメンバーを起用して制作した『Resistance』と『Mistress Music』、それにライヴ盤『Live In Paris Zenith 1988』と『Living Dub』シリーズの初期2作がリリースされる。彼の国際的名声が高まると共にプロデュ-ス作が大幅に増加したので、勿論これからも再発売されるタイトルは多数あるだろう。しかし、彼に対する評価が高まる中で、僕は1980年代から後の彼の作品は音楽的に薄く、型にハマッたものばかりだと思うのだが。

●ロンドンを拠点とするレーベル、Soul Jazzがリリースした『600% Dynamite』は前5作と同様にロック・ステディ、ダンスホール、そしてファンク&ソウルまでに及ぶ非常に幅広い選曲により、一見ではその制作意図を汲むことは難しい。しかし、同レーベルが発売してきた同様のコンピレーションCDが他の全ての類似品を凌駕するセールスを記録している事実を踏まえると、その焦点が定まっていないような選曲にも納得がいく。このコンピにはThe Uniques、Prince Mohammed、The In Crowd、Dennis Brown、Johnny Osbourne、I-Roy、Papa San、Mr. Vegas & Crew、そしてTenor Sawらのチューンが収録されている。さて、この企画も新たなベストセラーと成りえるのだろうか?
●1972年に公開され、Jimmy Cliffをフィーチャーしたカルト的人気を誇る映画『The Harder They Come』をミュージカル仕立ての舞台にする計画が持ち上がっているらしい。監督と脚本の両方を担ったPerry Henzellは実際の映画よりもイイという評判のノベライズ本を執筆したことでも知られている。主役のIvanhoe MartinをWyclef Jeanが演じる予定で話が進んでいるらしい。実に面白い計画だ。

●Barry Brown、Alton EllisやCornell Campbellらの作品を集めた上質のコンピレーション・ディスク作りに定評のあるドイツのMoll Selektaレーベルから、Tappa Zukieの実兄である'Blackbeard' Sinclairがプロデュースしたチューンを収めたコンピ・アルバムが発売された。1972年から1984年に渡ってHorace Andy、Wayne Jarrett、Flick Wilson、Johnny Clarke、Linval Thompson、Rod Taylorらが録音した素材をコンンパイルしたCDは『Don't Dive Up Your Culture』というタイトルがつけられた。これらの曲全ての7インチを収集することはもはや不可能に近く、仮に探し当てたとしても非常に高価なので、この際、このCD購入したほうが近道だろう。

●様々な楽器を操るRyan Mooreを核にオランダをベースに活動を続けているTwilight Circus。彼らのダブ・アルバムについては以前にこのレポートでも触れたと思う。そのユニットの最新作『Foundation Rockers』で、彼らはヴォーカルをフィーチャーする新機軸を打ち出してきた。彼らのことだからシンガーのラインナップもMykal Rose、Luciano、Big Youth、そしてRanking Joeなどツワモノばかりだ。ミステリアスで重厚なリズムにそれらの個性的なヴォイスが重なるわけだ。勿論、彼らのスタイルである多彩なダブ・テイクも満載であり、興味本意で聴き始めると後戻りできないかもしれない。要注意だ。


 
That's All For Now, Folks, So Take Care Till Next Time....
 
(訳/Masaaki Otsuka)


[お詫びと訂正]
No.252の当コーナー2行目に於きまして、Sean Paulを「ジャマイカの麻薬・犯罪ギャングの一員出身者」と記述致しましたが、これは原文の "Yardie"を直訳してしまった為です。実際は彼にそうした経歴はございません。お詫びし訂正致します。


Linval Thompson