レゲ絵 第11回  
タッパ・ズーキー
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana


 
 もちろん本名はデイヴィッド・シンクレアと、プレミア・リーグにいそうな、あるいはプログレのアーティスト名みたいに、いたって普通だが、芸名にせよ「Z」にファイルされるというのは、なかなかカッコいい。92年に『ロック・スタンダーズ』という厚いCDのガイド本を編集した時、そのヴォリュームを説明するのに「AC/DCからZZトップまで」と言っていたものだが、正確にはZZは、フランク・ザッパの前、「Z」の頭に入る。わざと一番最後にくるように作ったものでなければ、例えば『ロック・レコード』などを見ても、ゾンビーズより、タッパ・ズーキーよりさらに後ろにいる、ある程度以上名のあるアーティストというのは、ズレーマぐらいのものだろう。
 ヴァージン~フロントラインの再発売アナログには、彼の代表作『MPLA』も含まれている。ジャマイカ盤の方が、ジャケット100倍イカしてるけどね。検索サイトにタッパの名前をぶち込めば、相当数がひっかかるが、絞り込むならパティ・スミスの名前を併記せよ。彼女はアイドルの一人に彼の名を挙げ、確か並立写真がロック誌に掲載された。クラッシュのように、イギリスのパンカー達はこぞってレゲーにシンパシーを寄せたが、ニューヨークにいながらあからさまなリスペクトを表明したのは、彼女ぐらいのものだった。ズーキーの名前から、僕はそんな「時代」の方を思い出す。