レゲ絵 第11回
キング・コング
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana
ワ J・エアプレインのフィルモア・ライヴ『その尖った小さい頭を祝福せよ』、スカンジナビアのセックス・シンボル=ジャック・キャサディしか写っていないアルバムの冒頭。前座が終わりメイン・アクトのJAとの入れ替えの間、おそらく1933年版の映画『キング・コング』が上映されていた。そして準備ができると、MCは「さてさて、そいつはエアプレインじゃなかったんだぜ、獣を殺したのは『美人』だったのさ」と話して、一瞬G・スリックにピンスポが当たり、そこから演奏が始まるという趣向になっていたものだ。実況録音盤のイントロとしては、なかなかシャレている、ロック史に残るほどだ。
われらがレゲーのキング・コングとは、テナー・ソウ、アンソニー・レッド・ローズ、ニッティ・グリッティと並び称された「アウト・オブ・キー」の四天王の一人。「アウト・オブ・キー」は、この1~2月に行なわれたオリジナル・ラヴのツアー・タイトルでもある。田島貴男は真我で笠置シヅ子を歌うと言っていたが、つまりルイ・ジョーダン系のジャイヴってことか? ルイ・ジョーダンと言えば、僕は今から成田に向かって、ジョージー・フェイムの歌う「ポイント・オブ・ノー・リターン」を聞きに、ロンドンへ行ってくる。アイランドのコンピ『キング・コング』、つまりレスリー・“キング”・コング制作のロック・ステディ集も忘れられない。
70年前にコングがよじ登ったエンパイア・ステイト・ビルはもちろん健在だが、76年版のリメイク映画のそれは先に壊された(2棟共)。