レゲ絵 第9回   
ネイディーン・サザーランド
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana


 
 市バスに乗って空席を見つけた時、通りを歩いてくる、オレの未来の嫁さんを見つけたと思ったね。運転手に叫んだよ、スピード落としてくれってさ。彼女を見つけたんだ、バスから降ろしてくれよって。ネイディーン、君なのかい? ネイディーン、恋人ちゃんはキミなのかい? 君のこと、ずっと見ていた気がするよ。何か他のことやらないかい?

 他のことって言われても……。いわゆるバッシングにあって、チャック・ベリーは婦女暴行の罪で2年も臭い飯を食わされて、64年初頭、久し振りにスタジオに入った時にこの歌を吹き込んだ。反省なんかしちゃいない。それどころか、この次にリリースするシングルのタイトルは「No Paticular Place To Go」だ。そりゃそうだろう、塀の中にいたんだから。

 我らがレゲー界のネイディーンとは、ネイディーン・サザーランドのこと。僕も12インチを持っている。レーベルは56 HOPE ROAD、つまりタフ・ゴング系。Aサイド「アンティル」はウィリー・リンドが、裏の「ハンズ&ハート」はサンジー・デイヴィスの制作で、共にエンジニアはエロール・ブラウンだ。つまり、割とちゃんと出来ていて、後半はライトながらダブが接続されている。後にアスワド『Too Wicked』、ブジュ、デニスからピーター・トッシュまで、彼女がバック・ヴォーカリストとしてモテモテになるのも、何となくわかる気がする。容姿を含めて。