レゲ絵 第9回
チョーズン・フュー
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana
定冠詞が付けば「その選ばれし少数(の者)」という意味だ。チョーズン・フュー、クサい名前だ。確かに宗教くさい、もしくは聖書の匂い。もともとラテン語だろ、きっと。「検索」にはメタル・グループもあれば、「(暴走)族」のような名前まで引っ掛かったのだ。なるほど(と納得してどーする)。ま、モッドなオレなら「ジ・イン・クラウド」というような言い方を選ぶが。
トロージャンの例の箱シリーズ『ソウルフル・レゲー』には、このグループの12曲と、デリック・ハリオットの後ろにクレジットされた3曲がまとめて聞けることになっている。ソースはデトロイト、フィラデルフィア、メンフィス、そしてシカゴ産のソウル・ナンバーばかりだ。このシリーズは、解説も付いていないし、何年の録音だか、クレジットもない(が、ご存知のように安い! 吉祥寺に出来たばかりのHではついに¥1,500台になった)。
さらにスゴいのは、ソウル・ジャズ・レコーズが出しているスタジオ・ワンの『ソウル』のパンフレットに掲載された、当該グループのステージ写真である。腰の左右で大きくエグられた燕尾服、とでも言うしかないイデタチ。当然「光りモノ」、生地がだ。ただし、そんなに「キワもの」かと言えば、ベース(低音部)のメンバーもいるし、眼鏡をかけた人もいるし(?)、あのスコッティがらみってこともあって、むしろ本格派、雰囲気は悪くない。マイアミでの録音があり、日本の甘茶ソウル・マニアが騒いでいた同名グループって、同名異組ではなく、まんまこいつらのことだった!