レゲ絵 第5回
ダンディー・リヴィングストン
Painted by Yagi / Text by Noboru Yamana
ダンディは、1959年にはもうイギリスに渡っていた。本名はロバート・トンプスン、といたって普通。キルバーンのアイランド・レーベルと同じ区画にあった、あのリー・ゴプタルのレコード店で働き始めたのが、業界入りのきっかけだそうである。
そもそもはティト・サイモンと組んだデュオ(カーニヴァル)からスタートするが、むしろプロデューサーとしての仕事の方が多いか。ゴプタルが、ダンディの制作物のリリースのために、新たに「ダウン・タウン」を与えたほどだからだ。リコのフル・アルバムがここに残されたことを僕らが感謝しなければならないのは、おそらくダンディ宛てである。自分のノドでも、67年の「ルーディ、ア・メッセージ・トゥ・ユー」(スカ・ビート)があり、リリースから10年少々経ってからスペシャルズが取り上げてくれたおかげで、合計枚数としては、それまで以上に売れたことだろう。3年前に組んだCD『スキンヘッド・レゲー』(Avex~Justa)にも、常識的にそれを入れたが、「トリビュート・トゥ・ザ・プリンス」は凄い曲だ。
絵描きが描き直したい絵、音楽家が吹き込み直したい曲、作家が書き直したい文章。今回も画伯は、トリオ盤以来20年ぶりに再挑戦した。曰く「Dリンチの映画に一瞬登場する、赤いスポットライトからズレたダンディ」とのことである(でもバスターにも見えるよね)。