Capleton
Still Blazin'
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by Wiliam Rchards
今なお、高らかに燃え続けるラスタDJ、ケイプルトンのニュー・アルバム『Still Blazin』が届いた。前作以上にルーツ色の強い、言わばケイプルトンの現在の色が全面的に出た意欲作だ。早速プロモーションでNYに滞在中の彼にインタビュー。
「日本には4年前に行ったきりだな。札幌、新潟、大阪、それからヨコ…なんだけっけな、そうかヨコハマだ。いろんなところを回ったよ」。日本で訪れた地名を丁寧に思い出そうとしながら、予言者、ケイプルトンのインタヴューは始まった。
●『Still Blazin』というタイトルをつけた理由から教えて下さい。
Caplton(以下C):前の『More Fire』と同じコンセプトだよ。まだ、燃え続けているっていう。音楽的には、伝統的なルーツ・レゲエの要素が増えたけれど。ボブ・マーリーやデニス・ブラウンの音楽みたいなね。
●前作は流行語になるほどヒットしましたよね。音楽的に今回はもっとレイド・バックしたイメージを受けたのですが。
C:そうだね。10年ごとに成長していかないといけないからね。もっと、グローバルに届くサウンドを目指した。
●実は、今朝CDを入手したので2回しか聴く機会がなかったので、参加した人などについて教えて下さい。
C:モーガン・ヘリティジ、ルチアーノ、グレン・ワシントンが参加してくれた。ミュージシャンやプロデューサーもトップの人達を起用している。ブラック・スコーピオ、バルビー、それから自分でも4曲プロデュースしている。ミュージシャンはファイアー・ハウス、ジャズワド、ディーン・フレイザー…それから、俺自身のバンド、プロフェシーのメンバーも3、4曲参加している。
●ほとんどジャマイカで作ったのですか?
C:2曲はアメリカだ。グレン・ワシントンの曲はアメリカで録った。
●どれくらいかけて作ったのでしょう?
C:6ヶ月かかった。
●ジャマイカのトップ・アーティストはステージで新作からの曲よりも、昔からのシングル・ヒットをやる傾向が強いですよね? アメリカのアーティストは大体ツアーで新作をプロモートするものですが、理由は何でしょう?
C:やっぱりみんなが聴きたい曲をやらないと。いきなり新しい曲ばかりやるわけにはいかない。みんなに親しまれている曲の方がウケがいいからね。
●あなたは出てきた時は、ガン・トークが得意なバッド・ボーイのイメージが強いDJでしたよね。それから、ラスタになった変化について自分ではどう思ってますか?
C:昔はジャマイカの流行、ウケるトピックに注意を払っていた。でも、ラスタになってからはそういう風に考えなくなって、自然に遠ざかった話題も多いね。俺自身の人間性が変わったとは思わない。俺は常にハードコアなんだ。
●『Vibe』誌の記事で、ジャマイカやほかのカリブの島で政治闘争絡みの放火が相次いでいて、その際「モ・ファイアー」と叫ぶのが流行っている、という残念な記事がありました。もちろん、あなたの曲のメッセージとは無関係であるのは分かっていますが、この現象についてどう思いますか?
C:ファイアーは究極的にユニティーを表すものだ。不和や不純なのものを燃やして、ラヴ&ピースにたどり着く考え方は昔からレゲエではあった。ボブ・マーリーの「Catch A Fire」然り、バーニング・スピアーやピーター・トッシュのメッセージもそうだ。文字通りの意味だけでなく、ファイアーは解放や、明るく照らす意味もある。俺がステージに上がって放つエネルギーもファイアーだし、それで観客とつながるのもファイアーだ。君が言ったように、いま建物を破壊している人たちとは全く関係がない。生物学的にも、人間は火をなくしては生きていけないだろ。聖書にもそう書いてある。
マンハッタンのホテルの一室。和やかな雰囲気が充満していたのは、モーガン・ヘリティジのメンバーが顔を出したこともあるだろうが、いい意味で脂が抜け、代わりに貫禄を身につけた本人から出るオーラも大きかったように思う。現状を楽しんでいる、そんな余裕が伝わってきた。
●80年代後半に出てきて、90年代を通してトップ・アーティストとなり、そして21世紀を迎えたわけですが、振り返ってみてどうですか?
C:すばらしいね。少数のアーティストが君臨しているのでなく、たくさんのアーティストが活躍することでシーンを活性化できたし、若い人たちにI&Iの精神を示せた。本物でポジティヴであること、音楽を薄めないことが一番大切だし、それは実践できたと思う。
●自分の成功の秘訣は何だと思いますか?
C: Keep It Real。自分自身らしくあることだね。
●DJにとって最強の武器、独特な強い声を持っていますよね。
C:ハッハッハ。俺の声はトランペットなんだ(といって歌い出す)。
●若い頃に影響を受けたアーティストは?
C:ボブ・マーリーやピーター・トッシュはよく聴いていた。DJとしてはパパ・サン。サンのリリックの組み立て方、伝え方は憧れたし、影響を受けたね。
●デフ・ジャムから2枚アルバムを出ましたが、それについては?
C:俺がラッセル・シモンズ(デフ・ジャム創設者)が権利を持っていたサンプルを使ったのがきっかけだ。その曲で注目を集めたおかげで、たくさんのレコード会社が俺と契約したがって、当人の会社までオファーしてきた。一番条件が良かったから、デフ・ジャムにしたんだ(笑)。違うマーケットにアプローチできたし、メソッド・マンと共演することで、黒人同士のユニティを示せたのも良かった。試みとしては良かったけれど、いまVPと一緒にやる方がお互いを完全に理解して、じっくり音楽を作れる点ではずっとやりやすいのも確かだ。
●いまだにメジャーなレコード会社がレゲエの取り扱い方が分からないような状況ですよね。
C:レゲエの歴史は闘争の歴史でもあるんだ。ボブ・マーリーはジャマイカでしばらく1位になれなかった。本来、レゲエはすべての国を一つにまとめられるような力強い音楽なんだけど、それがメイン・ストリームに認識されることはまだ難しい。
●リリックを書く時、何からインスピレーションを受けますか?
C:まず、瞑想するね。自分の中にあるものを形にすることに努めるんだ。聖書は大事だけど、すべてではないよ。それより周りの空気を読み、自分に忠実で
あることでいい詞が書ける。自分自身が最良の教師だからね。
●これからの予定を教えて下さい。
C:自分の会社を立ち上げたから、若手を育ててプロダクションの面を強化したいね。
●現在のジャマイカのシーンを報告してもらえますか?
C:いい感じだよ。議論や競争は常にある。その点はキング・スティッチの時代から変わらない(笑)。ビジネスとしてはまぁまぁ順調だし、いいんじゃないかな。