Shaggy
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Text by Sonny Ochiai / Photo by Anderson Ballentayne
2001年に世界を制した男、シャギー。売れに売れまくった『Hot Shot』のリミックス・アルバムをリリースするというので早速インタビュー。すっかり大物然とした彼だが、気心知れたソニー落合の取材に本音もポロリ飛び出したようだ。
例の事件のあと、ジョージ・ワシントン橋には軍隊まで出ている。さらに「世界経済フォーラム」などという会議の為に、マンハッタンの道路は交通規制されており、ぼくは約束の時間にかなり遅れた。西52丁目にあるSIRスタジオに着くと、リハーサルが終わろうとしていた。バンドのメンバーが楽器を片づけ、レイヴォンもリックロックもブライアンとトニー・ゴールドもマネージャーたちも先に帰り、急にがらんとしたリハーサル・スタジオで、慌ただしくシャギーと話す。
●とりあえず、おめでとうと言わせて下さい。『Hot Shot』は世界中で1200万枚売れたそうですが、 金持ちになったこと以外に、一番変わったことは何ですか?
シャギー(以下S):有名になったことかな。どこに行ってもプライバシーが無くなった。ジャマイカに行ってもいつも誰かに見られてる。
●去年はたくさんテレビに出たり、ビルボードのアワードを受賞したり、USツアーをしたり、とても忙しかったようですね。
S:そうでもないよ。ツアーの観客はバックストリート・ボーイズのファンがほとんどで、おまけに連中の一人がアルコール中毒で入院して、途中でキャンセルされたんだ。だからシャギーとしてのUSツアーはまだやってない。それに去年のヨーロッパ・ツアーも「9月11日」の事件で中止になった。
●この『Hot Shot』がMCAに移籍してからの一枚目のアルバムですよね。「It Wasn't Me」はハワイからヒットしたと聞きましたが。
S:ワイキキのラジオ局が熱心にかけてくれて、それから西海岸でも火がついた。
●ニューヨークでも、毎日ラジオから聞こえてましたね。どんな曲でもこれだけ聴かされると食傷気味の気がしますが、自分でもこれが一番好きな曲ですか。
S:いや「Angel」の方がいいだろう。あのトラックはスティングが作った30種類の中から選んだ。
●男の子にも女の子にも受ける曲ですよ。スティーヴ・ミラーを持ってきたセンスもさすがスティングですね。日本でも「Angel」の方が人気あったんじゃないかなと思います。これはぼくの想像ですが。それでは、今月発売になる『Hot Shot Ultra Mix』について話して下さい。
S:「It Wasn't Me」は、パンチというイギリス人がリミックスしたのと、もう一つ、MCAの方でアレンジしたやつが入ってる。あと、「Angel」はカナダでの雪の中でのライヴが収録されてる。
●新曲も3曲ありますね。
S:「Too Hot To Handle」は『Hot Shot』のアルバムに入れずにビッグ・ヤードのシングルで出した曲だ。キーボードのバーチとリックロックと俺とで書いた。「Special Request」はトニー・ケリーがジャマイカで作ってくれた。トニーは昨日ここに来てたよ。今ニューヨークにいて、シャバ・ランクスのプロデュースをしてるらしい。「Why You Mad At Me」は、ビッグ・ヤード・スタジオでゴードンがミックスした。
●あなたのスタジオとスタッフ、それからシンガーたちについて教えてくれますか。
S:ビッグ・ヤードは俺と(プロデューサーであり、マネージャーでもある)ロバート・リビングストンのスタジオで、エンジニアはゴードン。もう一つは俺の家にあるランチ・スタジオで、スティングは普段ここにいる。二つとも歩ける距離だから、時々は行くけれどね。レイヴォンは知ってるだろ。それにブライアン・アンド・トニー・ゴールドも。
「Hope」で歌ってるプリンス・マイダスは以前シャバのシンガーだったから日本にも行ってるはず。今はうちのアーティストだ。リックロックはマイキー・ベネットの所にいた男で、ロバートが最初はソング・ライターとして契約した。「Freaky Girl」のクラフトはスティングのグループだ。
●『Hot Shot Ultra Mix』の方では、音が削り落とされて軽快になっていますね。でも「Keep It Real」はともかく、「Leave It To Me」や「Chica Bonita」は、『Hot Shot』に入ってる方が好きな人も多いと思いますが。
S:もっとダンスホール・アルバムにしたということさ。選曲も含めてね。
●だからぼくの好きな「Why Me Load?」が入ってない。でも「Hope」にはオリジナル・ヴァージョンになかったあなたのイントロが入っていますね。歌の部分でもたくさん歌っていますが、ヴォーカル、録音し直したのですか。
S:いや、あのイントロは長すぎるからとカットされていたんだ。録り直してはいない。今は次のアルバムを作ってるところだ。夏までには録音が終わるだろう。まだ細かいことは話せないけれど、同じようなアルバムにはしたくない。
●一番歌いたいことは?
S:オンナのことに決まってるさ(笑)。 ケツが大きいとか、あそこの具合がいいとか、ベッドが上手だとかいうことだけだよ。俺は女性を崇拝してる。ずっと「ミスタ・ラヴァラヴァ」だ。
●でも、さっき最後にリハーサルしてた「Why Me Load?」のようなスピリチャルな曲もたまには。
S:うん。メッセージは嫌いではないけれど、俺のスタイルじゃない。社会的なことは面倒だし、ポジティヴなものでなければ歌えないな。
●それじゃ、「Hope」のような曲は貴重ですね。歌詞もホロっとするしアップビートで。こういうのもいいですよ、あなたは歌もいけるから。
S:俺はシング・ジェイだと自覚しているけれど、やはり歌うよりDJの方が好きだな。歌のうまいやつは他にたくさんいるからね。
●来週からヨーロッパと中東にツアーだそうですが、どこからスタートですか。
S:ハンブルグじゃなかったかな。最後は3月7日にモナコのワールド・ミュージック・アワードだ。シュガー・レイと俺がホストをすることになってる。
●一ヶ月間のツアーですね。からだに気をつけて。良いツアーになりますよう、成功を祈っています。
S:ありがとう。
附記:大場編集長のお陰でシャギーに会えた。『Boombastic』以来六年ぶりだったが、この一年テレビでやたらに見ていたせいか、そんな気がしなかった。「俺のスタジオにも遊びに来てくれ」と手を握り、夕暮れの雑踏の中に歩いて行く姿は、相変わらずの好青年だった。93年の夏、「Oh Carolina」のヒットで初来日した時に、ロバートと二人きりで運んできた、重くて大きな兵隊用のズタ袋のことまでもが思い出されて、あらためて彼らの成功が嬉しく、そして少し胸がきゅっとしたのも事実だ。
