●まず何から聞こう? 出たばかりのマイティ・クラウン新作のミックスCD『Reggae Time Box』について説明してもらえる?
Sami-T(以下S):これまでも何枚も出してきたんだけど、今回は20年ぐらいの前の曲から、最新の曲までをミックスしたものにしたんだよね。『The History Of Jamaican Music』って4枚組のCDあったじゃん? あれはスカからダンスホールまで、その時代ごとの凄い良い曲ばっかが入っているんだけど、あれみたいに、なんか「ヒストリー感のある作品を作りたい」っていうのがずっとあったんだ。入れたい曲は沢山有り過ぎたんだけど、自分達がレゲエを聴き始めた頃から今でもずっと聴いている曲、現場でかけている曲ってことと、色んなレゲエがある中で自分達は“ダンスホール”を伝えていきたいってことを考えて選曲したんだよね。まっ、これが“クラウン・スタイル”って感じかな。
●うん、確かに名曲ばっかだね。
S:ヤバい曲しか入っていないね。だから、俺としても「まずは曲をしっかりと聴かせる」ってことを重視したね。あと、最近のお客さんの中には何げにデニス・ブラウンも知らないっていう人達も増えてて、こういう古いけど絶対知っておいた方が良いアーティストの曲には、今の現場でもかかり続けている曲が沢山あることを紹介しておきたいというのもあった。俺等みたいなサウンド(・システム)っていうのはそうしたものを伝えて行くメディアの役割もあるし、やっぱ本場のものをしっかりと理解しないと日本のシーンも良くならないし。ホント、世界の何処に行っても必ず盛り上がる曲っていうのがあるんだけど、そんなんばっかが入っている。これまでで一番良いし、「もうこれでダメならレゲエ聴かなくて良いよ!」って感じ。
●今の発言で“世界”ってあったけど、海外で観るとサミーの暴れっぷりは一段と凄いね。
S:常識と非常識が日本と逆転してたりするから、日本人から見るとビックリする部分もあるだろうけど、それはもうガンガン行くしかないからね。今でも海外で「日本人なのに」とかいう目で見る奴もいるけど、「そんなん関係ねぇーよ」って感じ。もう「お前等に分からしてやる」ぐらいな感じでやってる。とにかく海外でやるにはメンタルの強さ、ラフって言うんじゃなくて、タフでなきゃダメ。
●「12周年」の時に、今年は再び「ワールド・クラッシュ」に出るって言ってたけど。
S:うん、そうだね。行って来ますよ、日本代表として(笑)! 暴れてきますよ!
●期待してます。で、あとサミーは最近はトラック制作、プロデュースも盛んだけど。
S:もともとトラック作ったりすることには興味があったんだよね。だから思い付いたらガンガン作ってきたんだけど、大抵はそれに乗るアーティストのことをイメージして作ってる。身近というのもあるけど「ファイヤー・ボールならこうかな、とか、パパ・Bならこうかな」って感じで。やっぱ、まずはアーティスト在りきで、アーティストを如何に格好良く表現出来るかを重視するよう心掛けているね。俺のトラックって部分では「ファイヤー・ボールの『Book Of Life』でチェックして下さい」って感じだけど、ちょうどリーボックのプロジェクト“RbK”でもYoyo-C、Srsahnn(Back Drop Bomb)と「Take Over」っていうのを出したからそっちも聴いて欲しいね。でも、リーボックで“クラウン・モデル”とかって作ってくれないかな?
●(笑)。あと、それと8月には「横浜レゲエ祭」があるけど、完売なんだよね?
S:そうなんだよね。でも、一万人の前でやることを想像すると今からホント楽しみだし、当日は頭からイカせてもらいますよ!
●ところでさ、なんか今さらな質問だけど、サミーはどうしてレゲエにハマったの?
S:うーん、俺はニューヨークで初めてダンスに行ったんだけど、やっぱ、その時の音、サウンドかな。それにヤラれたのと、歌詞、それとレゲエ独特のフローというか、歌い回しみたいなものにもヤラれたな。もう、それからはそれこそウォーク・マンで聴きながら、踊りながら歩いたりしてて、周りから変な目で見られても、全然気にしないで「俺はコレだーっ!」って感じになっちゃったね。そうとう変な奴だけど(笑)。でも、その気持ちは今でも変わってないね。
●(笑)。で、今後とか将来は?
S:もうサウンド・マンとして行くところまで行ってやろう、って思っているし、あと、トラックとかの方もこれからもドンドンやっていければ、って感じかな。でも、ホントのところは先のことよりも、毎日をどう楽しく過ごすかってことしか考えていないんだけどね(笑)。
●じゃあ、十年後とか、二十年後の将来の自分を想像するってことはないの?
S:うーん、それは照れくさいからいいよ(笑)。
|